2024年 4月 19日 (金)

「ボラット」
ここまでやるか?下品でバカバカしいギャグ満載

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   こんな下品で粗雑でバカバカしい映画は見たことが無い。これが北米興行成績で2週連続トップの座を占めたばかりか、アカデミー賞の脚本賞候補になり、LA、サンフランシスコ、トロントなどの批評家協会賞で主演男優賞を獲得したのだから驚く。

(C) 2007 Twentieth Century Fox.
(C) 2007 Twentieth Century Fox.

   イギリスの大人気コメディアン、サシャ・バロン・コーエンは02年の「アリ・G」で世界的なヒットを飛ばした。しかし日本では不発。イギリス首相を追い落とそうとする大蔵大臣の陰謀に巻き込まれた若者の政治を扱った喜劇だが、皮肉な笑いを中心としたコメディは日本人には分からない。日本では未公開だが、カーレースの「タラデガナイツ」に主人公を打ち負かすフランス人レーサーが出て来る。怪しげな英語で嫌味な態度の男こそコーエンなのだ。主人公のウィル・フェレルを食っていて面白かった。

   アメリカでもヒットした英国のTV番組「ダ・アリ・Gショウ」でコーエンはインタビュアーの新キャラクター「ボラット」を作り出し、これも受けている。そのボラットはカザフスタンのTVパーソナリティ。「栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」のサブタイトル通り、アメリカを横断して人々にインタビューするモキュメント(擬似ドキュメント)映画。

   アメリカの習慣を間違ったまま生半可に覚えて、それに固執するボラットは、「キス」が挨拶だと思い込んでいる。先ず到着したJFK空港からマンハッタンに向かう地下鉄で会う人々にキスをする。逃げ惑う乗客の表情が可笑しい。

   本当は東海岸だけのインタビューで終わる筈だったが、TVの再放送「ベイウォッチ」で見た巨乳のパメラ・アンダーソンに一目惚れ。西海岸に住んでいる彼女に会って結婚を申し込むため大陸横断を決めるが、同行しているプロデューサーのアザマート(ケン・デヴィティアン)には分からない。横断用にアイスクリーム販売車のバンを購入してから争いが絶えない。

   ユダヤ人のコーエンだが、ユダヤ人を天敵とするギャグが多い。映画の冒頭には、白い被り物集団に散々追いかけられるユダヤ人が出て来る。また、あるユダヤ人宅に泊めて貰った夜、壁の穴から二匹のゴキブリが這い出てくると、金に汚いユダヤ人が変身したと思い込み、ドル札をゴキブリに叩きつける、などなど。女性の脳みそはリスより小さいとの理論をフェミニストのおばさんたちに披露して叩き出され、保守的な南部ではアメリカ国歌の曲に乗せカザフスタン賛歌を唄って観衆から石を投げつけられる。下品で粗雑。人種や女性をこき下ろすうちはまだいい。男同志、真っ裸のフリチンになって取っ組み合いの喧嘩。ホテル中エレベーターからロビーから宴会場を追っかけまわす姿にはあきれ返って言葉も出ない。

   この映画はアメリカでも、そこまでやるかという拒絶派と、死ぬほど可笑しいと受け入れ派の賛否両論。笑うに笑えないギャグが満載。でも日本人にはどうでしょうねえ?

恵介
★★☆☆☆
ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習
(BORAT: Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan)
2006年アメリカ映画・20世紀フォックス配給・1時間24分・R15指定・2007年5月26日公開
監督:ラリー・チャールズ
主演・脚本・製作:サシャ・バロン・コーエン
共演:ケン・デヴィティアン
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