「ゾディアック」
不可解な連続殺人事件に取りつかれた記者たち

印刷

   筆者は会社の研修生として1969年にサンフランシスコにいた。その頃連日のように新聞、TVを賑わせていたのが、このベイエリア連続殺人事件だ。犯人はゾディアックと名乗り犯行声明をマスコミに送りつけていた。早速この犯人は1971年製作の映画「ダーティハリー」で、サンフランシスコ市警のハリー刑事が追う犯人「スコーピオ」(さそり座の男)のモデルになった。今年3月にNYでこの映画を見て当時を懐かしく思い出した。驚くのはこの事件は未解決で市警は犯人をまだ追っているということだ。

(c)2007 Warner Bros. Ent. and Paramount Pictures. All Rights Reserved.
(c)2007 Warner Bros. Ent. and Paramount Pictures. All Rights Reserved.

   1969年7月4日・独立記念日の祭日。海の見える公園で車を止めてデート中の10代の男女が殺される。犯人はサンフランシスコ・クロニクル紙を始め各新聞社にゾディアックと名乗り、象形文字の暗号で犯行声明を送付する。この件を記事にしないと更にゾディアック(占星術)で17人を選んで殺すと。

   クロニクルの担当記者、ポール(ロバート・ダウニー・Jr)は早速取材にとりかかる。事件とは関係が無いが、風刺漫画担当のロバート(ジェイク・ギレンホール)は異常な関心を示し、暗号化された声明を解読する。占星術に関係がある、と市警のトースキー刑事(マーク・ラファロ)に訴え、捜査協力を申し出るが許されない。以来サンフランシスコのベイエリアで7件の連続殺人事件が起こる。

   事件を追うポールは疲弊し、薬で精神安定を求めるが摂取過多で辞職する。同様に事件に取りつかれたロバートは、漫画を止め事件の調査に奔走する始末。妻は子供を連れて家を出る。何かに取りつかれた姿は「未知との遭遇」の主人公、ロイにそっくりだ。ロバートは壁にぶつかっても、更に膨大な捜査資料を読み検討を重ね、怪しい人物を追求するなど真犯人追求の手を緩めない。しかし事件発生以来40年近く経た現在でも迷宮入りだ。かなりの所まで犯人を追い詰めて行ったその経過を描く。何れも状況証拠だけに打つ手が無い。この妄想に取り付かれたロバートの人物像を描くことに映画の後半は費やされる。

   監督は「セブン」のデビッド・フィンチャー。主人公の心理を反映させた混迷した画面は秀逸。2時間半超の長尺だが、実話だけに70年代の世相を背景にした真相究明劇は迫力ある作品に仕上がっている。映画の主人公ロバート・グレイスミスが原作を書いている。そのロバートを演じるのは「ブロークバック・マウンテン」でアカデミーの助演男優賞にノミネートされるなどすっかり演技派になったジェイク・ギレンホール。事件を追う記者ポールにロバート・ダウニーJr.。「チャーリー」でアカデミー主演男優賞候補になったものの麻薬でかなりの空白期間があった。追跡記事に疲れ麻薬に溺れる生活は実体験からか?上手い。

恵介
オススメ度: ★★★☆☆
ゾディアック(ZODIAC)
2007年アメリカ映画、ワーナー・ブラザース配給、2時間37分、2007年6月16日公開
監督:デビッド・フィンチャー
出演:ジェイク・ギレンホール / ロバート・ダウニーJr / マーク・ラファロ
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/zodiac/
  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter
コメント・口コミを投稿する
コメント・口コミを入力
ハンドルネーム
コメント・口コミ
   

※誹謗中傷や差別的発言、不愉快にさせるようなコメント・口コミは掲載しない場合があります。
コメント・口コミの掲載基準については、コメント・口コミに関する諸注意をご一読ください。

注目情報PR
追悼

お知らせ

電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中