「幸せのちから」
ホームレスから大富豪へ、夢みたいだけどホントの話

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   この「幸せのちから」はオススメの映画なのだが、公開された1月末には話題にならなかった。コマ劇場地下の改装なったシアターブルーで再上映されるので改めて紹介したい。


   いまアメリカ映画では黒人の役割がどんどん大きくなっている。公民権運動と無関係では無いだろうが、「風と共に去りぬ」などの昔の映画では黒人は召使か小作農か靴磨きくらいの白人至上主義だった。やがて白人の相棒としてまともな口をきけるようになった時代を経て、今や黒人が主役で白人が脇の映画はかなり多い。主役となる黒人スターはD・ワシントン、E・マーフィー、S・L・ジャクソン、L・フィッシュバーン、C・カーター、M・フリーマンなどなど。

   しかしアメリカではともかく日本では偏見のせいか黒人映画はやはり駄目。だが、一人例外がいる。この映画の主演ウィル・スミスだ。音楽界の人気スターから映画入りし、最初の「私に近い6人の他人」で注目され、「MIB」「ID4]など日本でも大ヒット。そんなに黒くなくハンサムで芝居のうまい39歳の俳優は、日本人の審美眼をパスしたのだろうか。

   この映画は独立プロの作品。日本では無名のイタリア人監督ガブリエレ・ムッチーノのアメリカでのデビュー作だ。ハリウッドはこういう原作を見落とす。ホームレスが証券業界で大富豪となりアメリカンドリームを達成した、その実在のクリス・ガードナーが自身で書いた伝記。ウィル・スミスは8歳の息子ジェイデンと親子役で共演。蛙の子は蛙。息子も素晴らしい演技を見せている。その父子を捨てる損な役リンダに「MI2」のタンディ・ニュートン。

   舞台は80年代初頭のサンフランシスコ。いつも夢を見ているクリス(スミス)はボーンスキャナー(骨密度測定器)なるものに投資して失敗し、妻リンダ(ニュートン)はあきれて5歳の息子も置いてNYへ行ってしまう。クリスは家賃を払えなくなり、車は没収、預金も税の滞納で凍結される。しばらくモーテルに泊まっていたが、やがて息子と一緒にホームレスに。ところが証券会社のセールスマンになるインターンを知って応募したら、20人の中から唯一選ばれて……。それから後の人生を映画は省略しているが、もっとリッチになり豪華な暮らしのクリスを見せて欲しいと思う。他人のサクセスストーリーでも観客は夢を見たいのだ。

   タイトルのPursuit of Happyness(幸せの追求)は憲法の基本的人権の言葉。息子の託児所は貧しい中華街にあり、英語を知らない中国人園長がスペルを間違ってHapp"y"nessと。"y"を"I"にすべきとクリスが指摘すると「それよか月謝払ってよ」と切り返すのは痛烈だ。シェルターや地下鉄、トイレで眠る主人公と、スーツにネクタイで証券会社に通う姿には相当な格差がある。

恵介
オススメ度: ★★★★☆
幸せのちから(THE PURSUIT OF HAPPYNESS)
2006年アメリカ映画、ソニー・ピクチャーズ配給、1時間57分、2007年1月27日公開(東京・シアターアップルで2007年7月3日~5日限定公開)
監督:ガブリエレ・ムッチーノ
出演:ウィル・スミス / ジェイデン・スミス
公式サイト:http://www.sonypictures.jp/homevideo/thepursuitofhappyness/index.html
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