2024年 4月 19日 (金)

「ラッキー・ユー」
最初から最後までポーカー、飽きてしまう

   新007の「カジノ・ロワイヤル」「オーシャンズ13」などカジノの内部を描く映画はワクワクする。筆者もラスベガス、モナコ、パース、ロンドン、ソウルなどのカジノに何度か足を運んだが、一歩入るとそこは光眩い豪華絢爛の大ホールで、誰のものかは知らないが大金の臭いがプンプンする別世界だ。この映画のタイトル「ラッキー・ユー」とは「ついてるね」「うらやましい」ぐらいの意味。賭けを祝福するときに使われるこの言葉が示す通り、最初から最後までベガスのカジノを舞台にした賭博の映画だ。

(c) 2007 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. - - U.S., CANADA, BAHAMAS & BERMUDA (c) 2007 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED - - ALL OTHER TERRITORIES
(c) 2007 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. - - U.S., CANADA, BAHAMAS & BERMUDA (c) 2007 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED - - ALL OTHER TERRITORIES

   ビリー(D・バリモア)は歌手の夢を抱いてラスベガスへやって来た。賭博には全くの無関心。しかし姉スーザン(D・メッシング)の元彼ハック(E・バナ)に出会い、魅かれるものを感じる。だがハックはロマンスに対しては慎重だ。スーザンも含めて誰とも深い関係にはならなかった。睡眠時間も短く絶えずカジノに出入りするハックはプロのポーカー・プレイヤーで、どんなゲームも本気で勝負する。だからいつもカラッケツで、掛け金を工面する毎日だ。金のためなら、決められた時間内に70台でゴルフ2ラウンドなどというゲームもする。そうこうするうちにポーカーの世界大会が近づく。ハックはその大会で2度優勝した実父のLC・チ―バー(R・デュバル)を嫌っている。カジノの総ては父から教わったが、母をゴミのように捨てた父親を許せないのだ。今ではビリーに恋をし、父親と真剣に賭けで対峙するハック。

   ポーカーは誰でも知っているゲームだが、インターネットのお陰で飛躍的に普及した。実際世界大会のゲームに、プロに混じってネットの優勝者が出場している。ケーブルTVでは各プレーヤーの手持ちカードを視聴者に見せて、どのように名人がプレイするのか中継する。だがブラフ(はったり)で驚き、騙しで舌を巻くのは最初の30分位で同じテクニックの繰り返しは直ぐに飽きてしまう。映画でも終盤の勝負の時がそうだった。

   どうもカジノ以外のロマンスも中途半端、父と息子の確執も先が見える展開で盛り上がりに欠ける。客を呼べる役者は「チャーリーズ・エンジェル」のドリュウ・バリモアただ一人。主役のエリック・バナは「ハルク」「トロイ」と影が薄いし大根役者だ。ベテランのロバート・デュバルは貫禄でもっているが、バナとの絡みはピンと来ない。ジャンキーのロバート・ダウニー・JRに至ってはギャンブルをやる訳でもないし、携帯を半ダースも使い怪しげな忠告をするのに何の意味があるのか分からない。監督・共同脚本はあの「L.A.コンフィデンシャル」のカーティス・ハンソン。あの名手が何でこんな映画を撮ったのか分からない。

恵介
★★☆☆☆
ラッキー・ユー(LUCKY YOU)
2007年アメリカ映画、ワーナー・ブラザース配給、2時間04分
監督:カーティス・ハンソン
出演:エリック・バナ / ドリュー・バリモア / ロバート・デュバル
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/luckyyou/
姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中