「ヒロシマナガサキ」
死んだ人はいい。生きてこんな苦しみを…

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   防衛省になって初めての大臣、久間章生氏は原爆投下について「あれで戦争が終わったので『しょうがなかった』」と発言した。口は災いの元。辞任に追い込まれたのだが、日本人は核廃絶を世界に訴えているから、この結果は「しょうがない」。人々の大臣への怒りは凄まじい。しかしどうしてこの怒りをアメリカに向けないか、この映画を見ながら「日本こそ悪うございました」と自らを蔑む自虐史観を考えた。久間章生も、原爆を落としたアメリカを非難しない自虐史観の典型的な例だ。


   アメリカは昭和20年8月6日に広島へ、9日に長崎に原子爆弾を投下した。アメリカの極秘資料は25年経つと一般に公開される。このドキュメンタリー映画はその資料を基に、日系のスティーヴン・オカザキ監督が500人を超える被爆者に会い、14人の証言をカメラに収めている。その人たちの被爆直後の焼け爛れた顔や体、手や足を無くした悲惨な状態を映したアメリカ側の記録と現在のインタビューを組み合わせているから、生々しくて凄い迫力だ。

   「死んだ人はいい。生きていてこんな苦しみを味わわなくて済むから」との、男性老人の証言は迫力がある。「生きていて被爆者として苦しむばかりでは無い。被爆者として差別され、また遺伝で奇形児が生まれるから結婚もできない」と悲痛な声で語る。広島で14万人、長崎で7万人の死亡者が出た。傷害は数知れず、62年経った今でも原爆が原因で死亡する人が続出している。

   アメリカの空爆は一般市民を狙ったものだ。筆者も子供時代、神戸に住んでいて生家を油脂焼夷弾で焼き払われた。東京、大阪、名古屋と軍需施設ばかりか女子供を含めた非戦闘員の市民を攻撃することなど、戦時国際法からすれば許されない非道な行為だ。しかし日本はこの広島・長崎の原爆投下についてアメリカに抗議をしていない。戦争を仕掛けた日本が悪いと自己反省をしている謙虚な国民だ。

   だが、日本人としてはこの原爆を風化させてはならない。アメリカのテレビ、HBOのための1時間半のドキュメンタリー番組として制作されたこの作品は、絶好の教材だ。

恵介
オススメ度: ★★★★☆
「ヒロシマナガサキ」(WHITE LIGHT/BLACK RAIN The Destruction of Hiroshima and Nagasaki)
2007年アメリカ映画、シグロ・ザジフィルムズ配給、2007年7月28日公開
監督・製作・編集:スティーヴン・オカザキ
公式サイト:http://www.zaziefilms.com/hiroshimanagasaki/
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