「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」
大きくなったハリー、キスシーンも自然に見える
小説の方は、いよいよ7月21日に最終巻の第7巻が全世界で売り出される。本作は第5巻で日本語版でも2分冊になるシリーズ最長の話だが、映画は一番短い2時間18分で収まっている。先行ロードショーの土曜日午後に見たが、劇場は半分の入り。こんな調子ではヒットが危ぶまれるが、台風のせいだろうか。
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それよりも気になるのは、ポッター役のダニエル・ラドクリフも、ロンのルパート・グリントも、ハーマイオニーのエマ・ワトソンもすっかり大人になってしまったことだ。だからハリーが好意を寄せていたチョウとのキスシーンも自然に見える。ともかく17歳は立派な大人、子供役はどうしても無理だ。
ハリーは冒頭でいつもの如く、マグル(人間)の地で意地悪な従弟ダドリーに苛められる。子供のようにブランコに乗ったハリーは大人顔だけに違和感がある。二人はディメンター(吸魂鬼)に襲われ、ハリーは従弟を助けるために魔法を使って難を逃れる。だが、本来魔法を使ってはならない場所でその力を行使したことにより、ホグワーツ魔法魔術学校を放逐されることになる。
弁明の場である公聴会ではダンブルドア(マイケル・ガンボン)校長が助けてくれるが、校長は罷免されてしまう。代わりに魔法省から送られたアンブリッジ(イメルダ・スタウントン)が校長になり、厳しい規律で生徒たちに対処する。肥満で小柄の体をピンクのスーツに包んだアンブリッジは、シリーズ初めての女悪役だ。魔法省と口裏を合わせ、闇の帝王ヴォルデモート(レイフ・ファインズ)の存在を否定し、彼に会ったと主張するハリーを迫害する。ハリーは悪夢に悩まされる。過去の忌まわしい思い出がフラッシュバックのように脳裏に閃く。闇の帝王とハリーはある絆で結ばれているのだ。
出演者の顔ぶれが凄い。脇役がエマ・トンプソン、ゲイリー・オールドマン、マギー・スミス、レイフ・ファインズ、アラン・リックマン、ヘレナ・ボナム=カーターなどスター級のオンパレードだ。監督はTVで活躍しているデイビッド・イェーツで映画初監督だが力はある。第6作も彼が監督する。
ハグリッド(ロビー・コルトレーン)の弟はとてつもない巨人だが、可愛い顔をしている。目を見張るのが、魔法省の倉庫のシーン。倉庫の棚に並べられた何百万という数の光る玉。天井までそびえる棚が崩れ落ち、玉が砕け散る様は壮観だ。ただ今回はクィディッチのゲームも個性的な幽霊も出て来ないのが寂しい。また登場人物が多すぎて、誰が誰だか思い出すのに時間がかかる。監督が変わり、今までのトーンよりも暗くなった。魔法の雰囲気は増したように思える。
2007年アメリカ映画、ワーナー・ブラザース映画配給、2時間18分、2007年7月20日公開
監督:デイビッド・イェーツ
出演:ダニエル・ラドクリフ / ルパート・グリント / エマ・ワトソン
公式サイト:http://harrypotter.warnerbros.co.jp/site/index.html