「競馬シーン」も迫力十分!「韓国映画」見直したい

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   浮ついた韓流映画でなく質の高い韓国映画を見直そうと、8月25日から東京と大阪で開かれる映画フェスティバル「ルネサンス」。先週の日曜日に引き続き、公開される21本の中から注目作品を取り上げる。

(C)2006 CJ ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
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馬と少女の交流を描く「角砂糖」は、馬の豊かな表情がみどころの一つだ

   必ずしも全作品が上出来の映画ではない。「チ・ジニXムン・ソリ 女教授」なんて、ポルノじゃあるまいしファックシーンのオンパレードだ(それが嬉しい人も多いが)。しかし大部分の映画は、脚本の構成がしっかりしていて、監督の力量が伺える作品群だ。改めて、安易な韓流ブームに乗らない、質の高い韓国映画を見直す。

   「角砂糖」は馬と少女の話。ひ弱な仔馬を殺そうとする父親から貰い受け、責任を持って仔馬を育てる少女シウン(イム・スジョン)。母を知らずに育った彼女はチョンドゥンイと名付けた仔馬の母親となり愛情を注ぐ。それでも父はシウンの大学費用のため、仔馬を売ってしまう。それから2年、シウンは女性騎手となるが、ある日路上で宣伝の馬車を曳いているチョンドゥンイと出会う。

   冒頭でアメリカ映画にもこんなのがあったなと思っていると、展開が段々に複雑になりアメリカ物とは異なったストーリーが進行する。養成学校同期の騎手同士の争い、悪い馬主とずるい調教師、レース中の妨害など次々に繰り出されるエピソードが飽きさせない。国産馬と外国産馬のG1レースも迫力がある。悪い馬主の顔がそのまんま東に似ていて可笑しい。レース場面も馬と馬の激しい接触、落馬で引きずられる騎手などの空撮やらミドルショットと、様々な角度から仔細に描いて真に迫る。

   共演する馬の「演技」が凄い。仔馬を生んで母馬が死ぬ場面は哀しみに満ちる。仔馬がようやく産道から出て来てカメラがパンすると、母馬の目が虚ろになる。またゴールに飛び込んだ馬が転倒するシーンにも圧倒される。馬たちの大きな目は表情豊か。監督のイ・ファンギョンはこれが2作目の若手監督で、将来が楽しみだ。タイトルの「角砂糖」は馬の大好物。

   「卑劣な街」も見応えがある。野心に燃える三流ヤクザが成り上がって行く様をフィルムノワール風に撮っている。監督は「マルチュク青春通り」で大ヒットを飛ばしたユ・ハ。「インファナル・アフェア」のアンドリュー・ラウ監督も脱帽のギャング映画に仕上げている。

   チンピラヤクザの頭、ビョンドゥ(チョ・インソン)。シノギが厳しい中でようやく手に入れたゲーセンの経営権も部下に奪われてしまう。そんなとき組織の大ボス、ファン会長(チョン・ホジン)を悩ます検事を消して会長に気に入られる。成功の女神の前髪を掴んだ彼に近づいて来たのは幼馴染みで、ギャング映画を撮りたいミノ監督。初恋のヒョンジュ(イ・ボヨン)にも再会できる。心を開いたビョンドゥは要人を殺した秘密をミノに洩らす。

   乱闘シーンの凄い迫力。殴る蹴るは序の口、鉄パイプや金属バットで頭を狙い埋没するまで殴り合う。韓国映画のバイオレンス18番だ。「ゴッド・ファーザー」のように、次々と邪魔者を消す手口も尋常ではない。主役を演じるチョ・インソンの無愛想な長い顔はクールだ。暴力や喧嘩ばかりの反面、家族を想い、恋人を愛し、友情を育む優しい心が彼の弱みだ。その辺りの描写がきっちり描かれ素晴らしい。

韓流フェスティバル2007ルネサンス
(2007年8月25日~10月12日、シネマート六本木、シネマート心斎橋)

恵介
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