栄光よりも「苦悩」「挫折」に目を向ける(バース・デイ)

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   2004年まで日曜の夜にTBS系で放送されていた「ZONE」という番組を憶えているだろうか? アスリートにスポットをあて、「スポーツドキュメンタリー」というジャンルを幅広い世代に浸透させた番組である。

   今から2年前、この「ZONE」の流れをくみながらも、アスリートに限らず毎回さまざまなジャンルの人物を取り上げるドキュメンタリー番組が新たに始まった。それが「バース・デイ」(木曜深夜)である。

   まず、なぜ番組タイトルが「バース・デイ」なのであろうか。番組ホームページには、こう記されている。

   「夢を抱き、戦いに挑み、過酷な現実に直面した者たちに訪れる、人生に刻まれた、忘れられない大切な一日。その忘れられない一日を番組ではバースデイと呼ぶ。新しい自分に生まれ変わる一日、それが『バース・デイ』なのだ」

   つまり、自分のそれまでの限界を超えたとき、さらに成長した新たな自分が生まれる。その記念すべき日(=バースデイ)が訪れるまでの過程を追った番組なのである。

   8月第1週の回では、女子バレーボール日本代表の栗原恵を取り上げていた。高校時代の華やかな栄光の時期を取り上げると同時に、日本代表に選出されながらも度重なる怪我に苦しめられた様子を紹介。オリンピック出場を目指して、日々地道に練習や試合に取り組んでいる姿を追っていた。

   この番組は従来のドキュメンタリー番組と異なり、ナビゲーター(東山紀之)がナレーターを兼ねることにより、番組の統一感を生み出している。また、テレビ東京の「ガイヤの夜明け」の役所広司ほどではないが、番組内で時々登場することで、視聴者と番組の主人公との仲介役(ナビゲーションアクター)として存在感を醸し出しているように思える。

   さらに注目すべきは30分の番組時間の半分以上を、苦悩や挫折といった、その人の「陰」の部分にスポットを当てていることだ。あえて苦労している姿を多く取り上げることで、その人の真の人間像というものが明らかになる。視聴者にとって、より親しみを感じ、共感できる存在、という印象をもたらしてくれる。

   一般のメディアは、とかく結果ばかりを取り上げる。だからこそ、こういったドキュメンタリー番組の役割というものは大切になってくる。

   このような番組を通じて、その回の主人公の普段見ることのできない一面を垣間見ることで、我々視聴者の側が結果や実績だけにとらわれず、その人の生き様をより身近に感じることができる機会をもたらしてくれるのではないだろうか。

   ※バース・デイ(TBS系・木曜24時59分、ただし時間変更が多い)

文   リアルぷーさん
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