「ブラッド」
ルーシー・リュウ「体を張った熱演」は見逃せない

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   ゾンビとかヴァンパイアとか人の血を吸って永遠の命を保つなんて怪物物語はあまり好きではない。映画会社は主人公を変え、舞台を変えて色んな作品を送り出して来る。この作品も時代を現代にしてLAウィークリーの敏腕女性記者を主人公としている。

(C)Rise Productions, LLC. All Rights Reserved8月11日(土)シアターN渋谷他にてロードショー
(C)Rise Productions, LLC. All Rights Reserved

   筆者は、主人公を演じる中国系アメリカ人、ルーシー・リュウのファンだ。細面に中国人らしいスランティング・アイ(釣り目)が愛らしい。TV「アリー My Love」で注目を集め、「チャーリーズ・エンジェル」シリーズで人気を不動にした。「キル・ビル」では日本人の女侠客を演じた。雪降る日本庭園で白い着物の裾をはだけての果し合いは、頭頂をざっくり斬取られても美しく「キル・ビル」の掉尾を印象付けた。直後に流れる梶芽衣子の「恨み節」にどう言う訳か涙がこぼれた。

   凄腕の女性記者セイディ(リュウ)が取材をしたばかりのトリシアが、さびれた路地裏で無残な死体で発見される。駆けつけたローリンズ刑事(マイケル・チクリス)は驚く。自分の娘だ。事件を追ってセイディはある屋敷の廃墟に行き着く。そこにはビショップ(J・ダーシー)とイヴ(C・グギーノ)というちょっと粋な男女がいた。二人は人間社会に紛れたヴァンパイア集団のリーダーだった。次にセイディが目覚めるのは死体置き場の中。生き返った時は彼女自身もヴァンパイアになっていた。

   自分をおぞましい身におとしめたカルト集団、特にビショップに対するセイディの復讐が、物語を引っ張る。ルーシーの体当たり演技はセクシー。「地獄に行きやがれ」と叫んで血まみれの衣服を脱ぐシーンや全裸のスレンダーな身体を薄暗い地下室で吊り下げられる場面などは、従来の彼女には見られない大胆さ。男性ファンは見逃せないだろう。

   最初にビショップに出会う廃墟で、ヴァンパイアの忠実な僕(しもべ)役のマコの顔が見える。シュワルツェネッガーの出世作「コナン」シリーズや「戦艦サンパブロ」など100本以上に出演した日系のハリウッド俳優。昨年7月に73歳で死亡したが、これが最後の映画出演作となった。

   何れにしてもB級作品だが、ルーシー・リュウの熱演で盛り上げる。また脚本も手掛けたベネズエラ生まれの監督、セバスチャン・グティエレスのスタイリッシュな演出も見逃せない。主人公が抱く、血に飢えて人間を殺す「罪悪感」や死なない肉体への「哀しみ」を、観客が納得できる描写で表現するのに感心する。

   製作はサム・ライミ率いるゴースト・ハウス・ピクチャーズ。先日紹介した「ゴースト・ハウス」や「呪怨 パンデミック」も作ったプロダクションだ。

恵介
オススメ度: ★★★☆☆
ブラッド(RISE:BLOOD HUNTER)
2006年アメリカ映画、LIBERO配給、1時間38分、2007年8月11日公開
監督・脚本:セバスチャン・グティエレス
出演:ルーシー・リュー / マイケル・チクリス / ジェームズ・ダーシー
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