「ハイヒールは手で履く!」ラジオドラマ支える「音の職人」

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   『カツ、カツ、カツ、カツ・・・』
   「ダメだよ~、それじゃ、足引きずって歩いているよ。」

   『カッツ、カッツ、カッツ、カッツ』
   「今度は、すごくふんぞり返って歩いているみたいだぞ」

   『コツ、コツ、コツ、コツコツ・・・・』
   「あちゃー、それはオカマ歩き!男がハイヒール履いた時みたいに、体重がかかりすぎ!」

   音だけで表現する達人、それが音響効果マン。

   パソコンで音を作れる時代、数は少なくなったと言えども、まだまだラジオドラマには、この方々がいないと大変困る。絶妙なニュアンス、タイミング、バランスはなかなか機械では作りだせない。今でも、人の手で丁寧に作られていくのだ。

   しかし、これが意外と難しい。

   私は、一度この効果音を実際に作らせていただいたことがある。あるラジオドラマでディレクターからお許しがでて、「女性がハイヒールで歩く音」の作成に挑戦したのだが、これが苦戦!

   まずは、パラパラと砂をひいた木の板の上をいつも通り歩いてみた。ガラスの向こう側で、プロが耳を研ぎ澄まして聞いている。余計な服がすれる音が入るとまずいし、かなり緊張する。「足をひきずって歩いている!」と、副調(スタジオに併設された調節室)からダメだしが飛ぶ。意識してなかったのに、普段そんな歩き方していたんだ!と改めて言われてビックリ! 

   ではどうやって歩くと、女性が颯爽と歩いているハイヒールの音になるのか? 音のプロフェッショナルのお手本は、靴に手をいれて、歩くというものだった。

   人形劇ならぬ靴劇とでもいったところか・・・片方ずつ靴に手を入れて、手に力を入れてパカパカっという音を出さないようにする。脱げないように慎重に一歩一歩、手で歩くのだが、そこには体重を感じさせないように、一歩を軽やかにするのがミソ。

   靴をドンっと板につけると荒々しく重量感ある女性を連想させてしまうので、軽くつま先をおろして、少し蹴り上げるようにして手を進めると、その音はまるでキャリアーウーマンがキビキビと歩いている、イメージそのものの音になるのだ。

   ハイヒールの音は男性が履いて録音すると、ヘビー級の女性を連想させ、女性が履いて録音すると、やはりその人の癖が出てしまうらしい。結局音の職人による「手で履くハイヒールの音」が一番ソレっぽいんだそうだ。

   彼らの耳の感覚は細かいニュアンスまですべてを聞きとってしまう。そのおかげで、長年仕事をしていると難聴気味になってしまう職人さんも多いとか・・・

踊るオサムン
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