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追悼・横山ノック「あんな何にも知らねえアホはない」

   亡くなった著名人を追悼する「温故知人」。この日は、波瀾万丈の大阪芸人、横山ノックさん。今年5月3日に中咽頭ガンで死去。75歳だった。いつもと違って周囲のコメントが抜群におもしろかった。

復活の舞台を見たくなりました

   レポーターの柳家花緑がいきなり、「今日のスタジオの男性陣はみな黒装束で、だれか亡くなったの? ということはありません。小倉さんは生きておりまーす」とやって、大爆笑。

   さて横山ノックといえば、まさに波瀾万丈の人生だ。

   師匠が横山エンタツ、弟子に横山やすし。漫画トリオの人気絶頂の中、何を血迷ったか1968年に参院全国区に立候補して当選。石原慎太郎、青島幸男と同期だ。全国区と大阪選挙区を2期づつ務めたあと、95年に大阪府知事。その2期目の選挙中のセクハラで一転被告席に。以来、表舞台から姿を消した。

   花緑が「漫画トリオなんて、この中でご存じの方は?」というと、かろうじて前田忠明だった。「大学入るか入らないかの頃。大変な人気でしたね。あくは強かったけれど」

   「大阪芸人の代表や」。大阪人の声もみな暖かい。府議も「ホントに知事が務まるんかいなといっていたが、彼が来ると議場が明るくなった」と。芸人を生かした数々のパフォーマンスを見ていると、いま話題の東国原宮崎県知事の先達だったことがよくわかる。

   6月7日に行われた「天国に送る会」では、漫画トリオの仲間である上岡龍太郎が言った。「あなたはみんなの太陽でした。甘えん坊で、頑固で、意地っ張りで、負けず嫌いで、天真爛漫で、子どもっぽくて、かわいくて、そしていつでも、必ずわたしの味方をしてくれた。ありがとう」

   その上岡とは、昨年11月29日「なにをいまさらノック」という舞台で、即席の漫画トリオをやって、大爆笑の連続。それが最後の表舞台となった。

   そして立川談志のコメントが圧巻だった。

   「知事なんてノックくらいでいいじゃない、っていう(大阪人の)了見が好きだった。それが、みんな背を向けたでしょう。おれは頭に来てね、大阪へいってね、そういうやつらにやる落語はねえからって、15分くらいあぐらかいてたことがある」

   「尊敬してた。あんななんにも知らねえアホはないけど、突き抜けちゃってた。だから、おれも龍太郎もとてもかなわねぇ」

   笠井信輔は「復活の舞台ってのを見たくなりましたね」

   佐々木恭子も「知らなかった。見たかった。まわりの人たちが最後まで残ってくれたってのが魅力だったんでしょうね」