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また冤罪事件?「いったい裁判所とは何なのか」

   「問題は2つ。一つは捜査段階での自白強要による冤(えん)罪。もう一つは裁判とは何なのか」(落合恵子)

今日の判決が有罪なら司法は腐っている

   静岡県御殿場市で01年9月に起きたとされる少年10人による少女(当時15歳)強姦未遂事件。公判途中に犯行日が変更になるなどナゾが多く、注目されていた事件。控訴審判決は、いよいよ本日8月22日だ。

   今朝の『スパモニ』は、キャスターの長野智子が特別取材し、特集した。

   事件の発端は、深夜帰宅した少女が「10人の男子に強姦まがいの暴行を受けた」と、親に告白したことから始まった。警察は10人の男子中高生を逮捕。このうち少年4人は、いったん犯行を自白したが、その後自白を翻す。犯行を否認したものの、4人は05年に静岡地裁沼津支部で懲役2年の実刑判決を受け、控訴していた。

   ところが、この事件は公判当初からナゾだらけだった。もともと犯行日は「9月16日」とされていたが、少年たちの両親が少女の携帯電話の通話記録を調べたところ、犯行時間に少女は他の男性とデートをしていたことが分かった。

   少女は一転、「実は、犯行日は9月9日だった。デートが親にバレるのでウソをついた」と、犯行日を変更。裁判所も「少女の心情は納得できる」と、犯行日の変更を認めた。

   実は、変更した9月9日の夜は台風15号で御殿場はかなりの雨降り。なのに少女は「雨に降られた記憶がない」「傘をさした記憶がない」と証言していた。これも公判では「降雨にバラつきがあった」と判断している。

   一方、少年たちは取り調べの警察官から「認めないと一生でれないぞ」と脅されるなど、自白の強要があったと証言している。

   警察、家裁、地検、地裁の各段階で担当者が職責を果たし、緻密にきちんと仕事をやっていれば謎などなかった事件かもしれない。それほど警察の捜査段階から、杜撰が目立つ。

   弁護士の石丸幸人は「刑事事件は、警察の捜査を検事や法廷が追認する出来レースになっている」と指摘する。作家の落合恵子も「自白の強要で冤罪を作り、それを審査するべき裁判所もおかしい。いったい裁判所とは何なのか」と、司法全体を糾弾する。

   最後にジャーナリストの鳥越俊太郎が「今日の判決が有罪なら司法は腐っている」と。

   だが番組の後、東京高裁は、少年の捜査段階の自白と少女の被害供述の信用性を認めて、改めて「有罪」判決を下した。「疑わしきは罰せず」という刑事裁判の鉄則は、この国では有名無実化しているのかもしれない。