「チャーリーとパパの飛行機」
空飛ぶ楽しさ、存分に味わえるファンタジー

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   クリスマスのプレゼントが希望通りではなく、すねた思い出は誰にもある。必ずしも欲しい物を父親に伝えられるとは限らない。ましてや家に余り居ない父親なら尚更だ。後になってパパからのクリスマス・プレゼントが素晴らしいものだと分かる。そんな子供の、亡くなった父を慕う気持ちにほろりとさせられる。フランス映画は「どうしてこーなるの?」と不条理だから嫌いだが、幻想的な不条理は良い。


   原作はコミックの「チャーリー」。脚本・監督のセドリック・カーンは6歳の長男に「ぼくらが見られる映画を作って」と言われた。完成して子供たちに見せた時が監督の一番緊張したときだが、子供たちはとても喜んだ。この作品で注目されたカーンはフランス映画界の若手ホープ・ナンバー1に駆け上がった。

   チャーリー(ロメオ・ボツァリス)はパパ(ヴァンサン・ランドン)のクリスマス・プレゼントを待っていた。欲しかった自転車のはずだ。しかしママ(イザベル・カレ)のご馳走を食べる時間になっても帰らない。パパは軍のパイロットでフライトが遅れ、深夜に帰ってきた。手に持っているのは白い大きな模型飛行機。何日もかかったパパの手作りだ。がっかりしたチャーリーが見向きもしないのでパパはそっとタンスの上に置く。「飛行機は飛べるんだよ」と言うパパの言葉もチャーリーの耳には入らない。

   パパは「自転車は買ってあげるよ」というメモを残してまた出張に出た。6日後の誕生日を楽しみに待つチャーリーだったが、パパは突然事故で亡くなる。チャーリーはパパの飛行機を抱きしめて眠った。翌朝目覚めると、飛行機はパパが置いたタンスの上に戻っていた。この飛行機は優雅に滑空出来るのだ。パパに逢いたい一心でチャーリーは飛行機で飛び出そうとするが、そうとは知らないママが必死で止める。そこに飛行機の謎を解きたいパパの同僚も加わっての攻防戦が始まる。

   映画ファンなら「スーパーマン」や、スピルバーグの「ET」に感化されているから、空を飛ぶ幻想に違和感は無い。それどころか空を飛ぶ楽しさをチャーリーと共に味わい堪能する。しかしまたフランス映画的なドタバタコメディが始まる。父親の同僚が飛行機を叩いたり圧力をかけたりして秘密を探ろうとするのだ。「ホームアローン」のように少年が大人の悪漢を出し抜くシーンがおまけについてくる。しかし何よりも心を打つのは少年とパパの交流だ。飛行機はパパであり、パパはチャーリーの幻影の中に姿を見せる。チャーリーを演じるロメオの素直な演技が素晴らしい。

恵介
チャーリーとパパの飛行機(L'AVION)
2005年フランス映画、ワイズポリシー配給、1時間40分、2007年9月1日公開
監督・脚本:セドリック・カーン
出演:イザベル・カレ / ロメオ・ボツァリス(子役) / ヴァンサン・ランドン
公式サイト:http://www.wisepolicy.com/lavion/
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