「GROW-愚郎」
イジメられっ子を「成長」させる伝説の不良たち

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   「GROW」のコンセプトは、脚本を書いた後藤克秀が監督の榊英雄と焼肉を食べながら考えた。親や教師に愛されず、いじめや孤独で死んで行く子供たち。見捨てられた彼らの前に突如現れて、救いの手を差し伸べる人間がいる。不器用な男たちが、気弱なイジメラレッ子を成長させる話を描こう、と。

(C)2007「GROW」製作委員会
(C)2007「GROW」製作委員会

   5日間で脚本を仕上げ、8日間で撮影を終えたという超スピードお手軽映画だが、コンセプトがしっかりしているから説得力がある。

   高校2年の村上敦(桐谷健太)は鬱々とした日々を送っている。学校では滑川(三上真史)たちクラスメイトから執拗ないじめを受けるし、家へ戻れば酒乱の父にぶん殴られる。PCだけが友達だ。これは死ぬしかないと、通学路の土手を降りたところにある薄暗い廃屋に入り込み、鴨居に縄をかけ首を吊ろうとする。だが誰もいないと思った屋内から埃を上げて、長ランを着た三人組のいかつい男たちが現れる。敦は知らなかったが伝説的な不良、泰三(寺島進)、鉄治(菅田俊)、淳一(木下ほうか)だった。彼らの男っぽい語り口と話の内容に魅かれた敦は自殺を思いとどまり、放課後は毎日彼らに会いに通うようになる。

   可笑しいのは、滑川たちに追っかけられて逃げ回る敦の足の速さに体育教師の石橋(渡辺裕之)が感心し陸上部へ入部させること。また男たちに勧められるままリーゼントにしたら、クラスのマドンナ晴香(中村映理子)が声をかけてくれる。誰からも無視されていた敦が自信を取り戻す一歩だ。指導する3人の男たちの素性が知れるシーンで映画は後半に入る。イジメで追っかけて来た滑川たちが彼らを見て驚くのだ。伝説的な不良の彼らが現在どんな状態でいるのか、敦は知らなかったが、滑川たちは知っていたのだ。

   イジメラレッ子で終わるのではなく、負け犬状態を脱却し、男として立ち上がれと3人の男たちは敦を励まし、教え、育てていく。しかし彼らと敦の別れが待っている。

   この映画を見ていてハンフリー・ボガートの映画「俺たちは天使でない」を思い出した。三人の悪者が人の良い一家を危機から救ってやる話だ。それに「天国から来たチャンピオン」。一旦死んだ男が生き返り善行を施す映画。この二つを足して二で割ったのがこの作品のような気がする。低予算でセットも役者も金がかかっていないが、そんなに悪くない出来上がりだ。

恵介
オススメ度: ★★★☆☆
GROW-愚郎
2007年日本映画、チェイスフィルム・エンターテイメント配給、1時間54分、2007年9月8日公開
監督:榊英雄
出演:桐谷健太 / 寺島進 / 木下ほうか
公式サイト:http://www.grow510.com/
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