「キャンディ」
セックスとドラッグに溺れる「ジャンキーカップル」の末路は?

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   オーストラリアの演劇界の巨匠ニール・アームフィールドが映画初監督で溢れる才能を示した「キャンディ」。俳優もスタッフも総てオージー(オーストラリア人)。

(c)MMV Films Finance Corporation Australia limited, Candy Productions Pty Limited and New South Wales Film and Television Office./WISEPOLICY
(c)MMV Films Finance Corporation Australia limited, Candy Productions Pty Limited and New South Wales Film and Television Office./WISEPOLICY

   主人公キャンディを演じるのはアビー・コーニッシュ。輝く金髪と愛くるしい 笑顔が素敵な24歳。この映画の後、ハリウッドで「ア・グッド・イヤー プロヴァンスの贈り物」に出ている。相手役ダンは「ブロークバック・マウンテン」でアカデミー主演男優賞候補になったヒース・レジャー。二人を暖かく見守る薬学の大学教授は「シャイン」でアカデミー主演男優賞のジェフリー・ラッシュと豪華キャストだ。オーストラリアのエンタメ業界の人たちはハリウッドの豊潤なリソースである。

   キャンディは画家、ダンは詩人を目指す芸術家の卵。だが怠け者で自堕落で退廃的で刹那的。二人にとって居心地の良いジャンキー生活にドップリと浸り、生きる糧はドラッグとセックス。友人、家族、先輩を騙して金を借りまくり、金目のものは全部質屋へ。質屋の親父の彼女を見つめる好色な顔を見て金を稼げると考えたキャンディは、「臭かったけど」我慢して身体を売り、僅か50ドルをダンに渡す。これが売春の始まりで、稼ぎは勿論瞬く間にドラッグになる。ジャンキーになっても二人には愛があり、セックスをしては「天国」のような生活をしている。

   結婚をしても、キャンディは娼婦でクスリ代を稼ぎ、ダンは人の財布をくすねる泥棒に落ちるが、それでも二人はハッピーで「地上」に居た。だが異変が起こる。子供が出来たのだ。家庭に飢えるダンとキャンディは必死にドラッグを止め、禁断症状に耐えようとするが駄目。いさかいの末に流産してしまう。子供を亡くして田舎へ行ってからが「地獄」。いつか二人は分かれる運命になるとキャンディは本能的に知る。

   ジャンキーの凄絶な生き様。二人の間には間違いなく「愛」がある。でもその愛は二人の救いには繋がらない。むしろ愛がある故に地獄へと落ちて行くのだ。ダンには親類縁者もいないが、キャンディは暖かい家族がある。彼女の母親がダンに向かい「貴方はキャンディと私たち家族に何てことをしてくれたの?」と迫る場面は共感を覚える。が、キャンディは「お母さんは何にも分かっていない。私は6歳の時から拳を握って生きて来たのよ」と、ダンが居たからこそ自分なりの幸せを掴めたと泣きながら訴える。

   ジャンキーでもフッカー(娼婦)でも幸せを願う。芸術家の夢を果たしたいと心で想う。でもジャンキーの現実は厳しい。ヒロインの名前、キャンディには麻薬の意味がある。二人の愛と希望を粉砕し、天国から地上へ、そして地獄へと落ちて行く凄惨な映画だ。

恵介
オススメ度: ★★★☆☆
2005年オーストラリア映画、ワイズポリシー配給、1時間48分、2007年9月22日公開
監督:ニール・アームフィールド
出演:ヒース・レジャー / アビー・コーニッシュ / ジェフリー・ラッシュ
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