光市事件被告の「奇妙な」供述 「弁護団の洗脳」で可能なのか?

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   広島高裁で行われている山口・光市の母子殺害事件の差し戻し審。集中審理最終日の9月20日、遺族の意見陳述が行われ、殺された本村弥生さん(当時23)の夫・洋さん(31)と母親が意見を述べた。

   母親は「1審2審はなんだったんでしょう。むごい形で2人の命を奪っておいて、自分の命が惜しいのですか。極刑しか考えられません」と訴えた。

   また洋さんは「これまではすべてウソだったと思っていいのですか。弁護人が代わったとたんに、君の主張が変わったことが、私を苦しめている。今の君の言葉は信じられない。君の犯した罪は万死に値する。自らの命をもって罪を償わなければならない」と述べた。

   今回の集中審理で、被告の元少年(26)は、1審2審で認めていた殺意と乱暴目的をいずれも否定。捜査段階の供述調書に署名したのも、「検察官から否定をすると死刑の公算が高まるといわれた」「強姦ということばも認識不足だった」と、本意ではなかったとしていた。

   遺族の意見陳述のあと、弁護人が感想を聞くと、被告は「具体的に言葉にできない。軽くは言えないです」。さらに、「生きたいと思っているのか?」には「亡くなった2人には申し訳ないですが、生きたい。ボク自身も幸せになりたい。おこがましくて言うことはできません」。またなぜか「本村さんに拘置所で会いたい」と、涙を流しながら答えている。

   ところが、検察官に対しては、「いま以上の苦しみは実生活において想定できます。それを踏まえてでも生きたい。なめないで頂きたい」と言っている。これは何を意味するのか。本村さんは「彼は反省していない」と言った。

   弁護団の会見も異例だった。今枝仁弁護士は「正直つらかった」と涙を流し、しかし「胸を張って弁護できた」と。対照的に安田好弘弁護士は「被告がどういう人間か、何をやったかの両方で、前提とされている事実が違う。真実を知って欲しい」といった。

   最高裁が差し戻した意味は、即ち「死刑にせよ」ということ。弁護団は死刑廃止論者がずらりと並ぶという異例の裁判である。が、弁護団の信念とは別に、被告人の供述などから、見えてきたものもあった。

   「ドラえもんが助けてくれる」「精を注入すれば生き返る」などは、いったい何なのか。被告のレベルをあらわすものなのか。被告の変化が、弁護団の洗脳ではたして可能なのか。考えれば考えるほど、奇妙な展開にも見える。

   杉尾秀哉が「弁護団が死刑制度を回避するためのモデルにしようとした。それに対する意見が多々あることを忘れてはいけない」と、まあ常識論。

   しかし、これらの経緯は、在京の新聞紙面にはほとんど登場しなかった。ネット版でも、事件ものの片隅である。

文   ヤンヤン
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