2018年 7月 22日 (日)

邦画界に旋風? 新映画レーベル「WOWOW FILM」スタート

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   91年に創立され、今年16年目を迎えた衛星放送局「WOWOW」。視聴者は250万人で売り上げは615億円に達する。堂々の黒字経営だ。私事になるが、スタートした時に広告代理店の担当の責任者で、ハリソン・フォードをCMタレントに使い、シンディ・ローパーやグロリア・エステファンなどのビッグ歌手を招いて横浜で音楽イベントを開いたことを懐かしく思い出す。

(C)2007「犯人に告ぐ」製作委員会
(C)2007「犯人に告ぐ」製作委員会

   WOWOWではプロデューサー仙頭武則が映画を製作していた。独自のプロダクション「ランブルフィッシュ」を01年に立ち上げるまでの在籍10年間に、WOWOWの名を高める佳作を産み出している。カンヌ・カメラドール受賞の「萌えの朱雀」のほか、「リング」「らせん」「EURIKA」など。仙頭のおかげで世に出た映画作家は河瀬直美、青山真治、中田秀夫と綺羅星のようだ。「ランブルフィッシュ」以降の仙頭はちょっとたたらを踏んでいる感じ。やはりWOWOWのようなバックが無ければ思うような映画は製作できないのだろうか。

   仙頭武則はアート系に走ったが、WOWOWは今年4月、普通の劇場映画を製作する目的で、アメリカのHBOのような新しい映画レーベル「WOWOW FILM」を創立した。その第1回作品「犯人に告ぐ」が今秋リリースされる。豊川悦司扮する負け犬・巻島警部が主人公。TVのニュースショーを使っての「劇場型捜査」はスリリングでサスペンスな物語をリードする。この作品については既にこのコラムで激賞した。既存の製作会社にない、さりとてアート系でない良質の作品を引き続き、世に送り出して欲しいものだ(しかし公開劇場数や配給網にかなりの問題を抱えているのが心配だ)。

   このレーベルについて、NHK出身の和崎信哉社長が「キネマ旬報」10月上旬号でこう述べている。「地デジが完全スタートする2011年を乗り越えて生き残るには、コンテンツの勝負だと思う。(略)洋画はハリウッドに対して長年の不平等条約を克服したが、邦画は民放TV局に押されている」現状での生き残り戦略がWOWOW FILMだということだ。

   現在東宝系で公開中の「HERO」が、昨年の「ゲド戦記」や「海猿2」を越えて80億に達するという。フジTV亀山千広Pの製作するTV特番型映画。自社の無料スポットや番宣を莫大にばら撒いて客を集め、映画興行界を席巻して、我が世の春を謳歌している。何度も言うが、この手の映画は悪貨で良質の映画を駆逐している現状だ(「犯人に告ぐ」がこの犠牲にならなければ良いが)。

   有料TV局の雄のWOWOWが亀山プロジェクト映画に歯止めをかけ、邦画界の一画に橋頭堡を築いてもらいたいと強く願う。

恵介
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