「インベージョン」
宇宙からの侵略者、ニコール・キッドマンを襲う

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   本作「インベージョン」は1955年に出版されたジャック・フィニ原作の傑作小説「盗まれた街」(早川書房)を映画化したSFサスペンス。これまでも56年のドン・シーゲル監督作品や78年のフィリップ・カウフマン監督作品があり、3度目のリメイクである。

(c)2007 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
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   宇宙からの侵略者が人間の魂を奪って成り代わる。精神科医キャロル(ニコール・キッドマン)の患者が「夫が夫でなくなっている」と告白するように、何者かが侵入して姿かたちはそのままだが感情を持たない人物に代わっていく。

   原作では、入れ替わった人間が権力側に取り付き、何も知らない市民をコントロールする恐ろしさも描いている。最初のシーゲルの映画では赤狩りのマッカーシズムを、カウフマン作品ではニクソン政権のベトナム戦争やウォーターゲイト事件への批判を含んでいる。この「インベージョン」でもブッシュのイラク戦争やハリケーンカトリーナなどの失政を批判しているが、前記2作品ほどの政治的な深さは無い。むしろ入れ替わった人間たちが支配すれば愛憎の感情が無くなり、国家同士が争わず平和になると。金正日が核廃絶を宣言し、地球上で核が全廃され、中東には和平がもたらされる。ボディ・スナッチャー(体泥棒)礼賛論が至る所で聞こえるから不思議だ。

   精神科医キャロルの別れた夫タッカー(J・ノーサム)が、帰還に失敗したスペースシャトルの墜落現場の調査から戻り、息子オリバー(J・ボンド)には興味が無かったのに突然会わせろとキャロルに迫る。それから不思議な出来事が重なる。キャロルの患者が「夫は別人になった」と言い出すし、オリバーの友達は犬に噛まれても平然としている。女性が車にはねられ目撃証言を申し出ても警官は何でも無いと言う。沢山の人がみな無表情で、ビルの屋上から投身自殺者が出ても淡々と見守る。悲鳴を上げた女性は警官たちに拉致される。街中が何かおかしい。キャロルは、犬に噛まれた子供の皮膚についたネバネバの透明物体を恋人の医師ベン(クレイグ)と同僚のガレアーノ医師(ジェフリー・ライト)に検査してもらう。

   ベンやガレアーノの分析で感染物体の正体が徐々に暴かれる。その間キャロルがゾンビみたいな群衆から追われて、派手なアクションを展開する。燃え出したクルマに感染者が群がり、彼らを振り払おうと衝突を繰り返す。感染した夫がキャロルを仲間にしようとゲロを顔に浴びせるシーンの気持ち悪さ。

   主演はニコール・キッドマンと007を蘇らせたダニエル・クレイグだというのに、何か盛り上がらない。監督は「ヒットラー~最期の12日間~」でドイツにアカデミー外国語賞をもたらしたオリバー・ヒルシュビーゲル。余りに真面目過ぎるということで「Vフォー・ヴェンデッタ」のマクティーグ監督がゲボのシーンなど一部撮り直したという。

恵介
オススメ度: ★★★☆☆
インベージョン(THE INVASION)
2007年アメリカ映画、ワーナー・ブラザース配給、1時間39分、2007年10月20日公開
監督:オリバー・ヒルシュビ―ゲル
出演:ニコール・キッドマン / ダニエル・クレイグ / ジェレミー・ノーサム
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/theinvasion/
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