「スターダスト」
デ・ニーロ演じる「女装趣味の海賊」が笑わせる

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   「ハリー・ポッター」「ロード・オブ・ザ・リング」で始まったファンタジー・ブームは未だ衰えを知らない。だが、やはりイギリスでなければ幻想物はダメだと思い知らされたのは、アメリカの少年の書いた「エラゴン」だった。20世紀フォックスが鳴り物入りで登場させた大作は見事にズッコケ。モンタナの田舎で育った少年の原作は、バックグラウンドも雰囲気も充分と思われたが、如何せん奥行きが無い。やはり伝統とか歴史がそのバックになければダメと言うことか。

(C)2007 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
(C)2007 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

   この映画はパラマウントが製作しているからアメリカ映画ということになるが、原作はイギリスの人気ファンタジー作家ニール・ゲイマンで、監督のマシュー・ヴォーンもイギリス人である。ゲイマンは「サンドマン」でDCコミックにデビューし、この「スターダスト」の原作は97年にグラフィック・ノベルで発表している。ヴォーン監督はダニエル・クレイグを世に出した「レイヤー・ケーキ」でデビューしている生粋のイギリスの監督だ。パッケージはアメリカでも、中身はイギリスなのだ。

   ファンタジー物は当然ながら子供相手の物語だが、「スターダスト」は違う。人間界の壁の向こうは魔法の世界。そこへ流れ星イヴェイン(クレア・デインズ)が落ちる。その心臓を生のまま食べることが「永遠の命」の保証になると知る輩がイヴェインを狙う。。狡猾な魔女たちや王位継承を狙う残忍な王子たち、王子を囲む亡霊の群れ、空威張りの空飛ぶ海賊とその部下。イヴェインをひょんなことから守る役目を背負う主人公トリスタン(チャーリー・コックス)は、いつしか彼女に恋をする。

   400歳を雄に超える魔女を演じるミシェル・ファイファー、魔法を使いすぎると疲れて自分の本当の素顔を見せざるを得なくなる。若く見えるファイファーの50間近の実年齢を思い出して、観客は残忍になる。ロバート・デ・ニーロは海賊のキャプテンで、愉快なキャラクター。部下の手前、冷酷で残忍な外面を見せるが、内面は優しく人間的でイヴェインやトリスタンを助ける。最高に傑作なのは、男らしく見せかけているのに女装趣味があり、密かに下着姿で「カンカン」を踊っているところを見付かるシーン。惜しむらくは主役のデインズが可愛くないこと。暗く落ち込んだ目はファイファーの魔女を思わせる。もっと可憐な女優はいなかったのか。

   奇想天外の魔法が次から次へと披露される。たちまち炎に包まれる、アッという間にネズミに変えられる、死人たちが亡霊となり生きた人間を取り囲むなどなど。魔法の小道具も魅力的。"バビロンのロウソク"は心に浮かんだ場所へ移動できるし、"待つ雪草"は魔法から守ってくれる。ことにルビーのネックレスは王位のしるしなのだ。主人公を除く誰もが魔法を使えるから、画面も目まぐるしい。次から次へとストーリーのテンポも早く、2時間を越す長さも感じないほど面白い。

恵介
オススメ度: ★★★★☆
スターダスト(STARDUST)
2007年アメリカ映画、UIP配給、2時間8分、2007年10月27日公開
監督:マシュー・ヴォーン
出演:クレア・デインズ / チャーリー・コックス / ミシェル・ファイファー / ロバート・デ・ニーロ
公式サイト:http://www.stardustmovie.jp/top.html
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