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「24」も撮影ピンチ?脚本家ストライキで戦々恐々

   先週の11月5日から、ハリウッドが20年振りのストライキに突入した。口火を切ったのはWGA(全米脚本家協会)で本格的にピケをはってデモが始まり、脚本作業が完全にストップしている。要因はこの欄で度々述べたように、映画スタジオやTVネットワークはインターネットのダウンロードやストリーミングで得た収入を、脚本家にレジデュアル(使用権)として払え、というもの。未だ確立していないメディアだから、とか、先行きどうなるか分からないから、などと、のらりくらりかわして来たスタジオ側に対して、脚本家たちがついに実力行使に及んだのだ。

(C)2007 FOX BROADCASTING COMPANY
(C)2007 FOX BROADCASTING COMPANY
日本でも大人気の「24」だが、ジャック・バウアーに思わぬ敵が・・・

   ヴァラエティ誌が伝えるところによると、現在、映画のダウンロードで年間$20M(23億円)が、またTV番組のストリーミングやダウンロードで年間$100M(115億円)が、スタジオやネットワークの懐に入っている(WGA調査)。オンライン・ヴィデオの広告収入になると、現在でも何と$775M(891億円)、5年後の2011年には$4.3B(4945億円)という膨大な収入になると言う。ストリーミング・ヴィデオは、オン・ディマンドでインターネット上にヴィデオを流すもの。現在はTV番組だけだが、既に映画のストリーミングの実験が始まっている。WGAがここでしっかりと契約を結んでおかなければならない、と焦るのも無理は無い。

   協会側とスタジオ側の交渉の内容が漏れ伝えられる。レジデュアルは全収入の1.2%ほどが示されたとか、ダウンロード・レジデュアルはDVDと同額を提示したが協会側はその2倍を要求しているとか。映画は長期的なプロジェクトだから既に手当てしてあったり、外国での製作に逃げたり出来るが、TVは国内スタジオで作られるため次々と人気番組がダウンしている。

   例えばFOXTVの「24」。キーファー・サザーランドのジャック・バウアーは7度目のミッションで大活躍だが、脚本が無いことには製作はストップせねばならない。FOXの進行主任のプレストン・ベックマンは「場合によっては今シーズンは中止して、来年(08-09シーズン)に延期か」と語っている。他にも「プリズン・ブレイク」や「ファミリー・ガイ」など人気番組も続々スケジュール変更を迫られている。スタジオと脚本家の欲張り合戦が、視聴者の楽しみを奪っているのだ。