10年働いてもダメ出し連発 「漫画界」は恐ろしい

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   フリーランスの漫画編集者であり、漫画の原作者でもあるのが、今回のプロフェッショナル・長崎尚志。以前放送された漫画家・浦沢直樹のパートナーとしても活躍している。

   漫画家には、自分で絵を描きストーリーを組み立てる漫画家と、ストーリー(原作)を別の担当に組み立ててもらう漫画家がいる。漫画○○・原作△△と書いてある漫画をよく目にするが、それが漫画家と原作者が話し合ってストーリーを作り出していくスタイルだ。

   編集者・原作者の仕事を理解していなかった私はそのスタイルの漫画を見るたびに、「ストーリーを考えるだけなんて楽な仕事」と思っていた。キャラクターデザインや絵の構図を考えるのは大変で苦労も多いと思うが、ストーリーを考えるのは大変と言うよりも、楽しいだけの仕事のような気がしていた。

   番組を見終わった後に感じたのは、編集者・原作者という仕事は漫画の設計士なのだということ。話の筋道から世界観、登場人物の持つ空気感までを設計し、漫画家に伝える。漫画家はそれを基に、実際に建築していく。設計士の思惑と違うところには遠慮無く指摘が入る。

   長崎が番組で言っていた言葉でもあるが、「最近の読者は難しいテーマを望んでいる」。複雑で奥が深いテーマを扱った作品は確かに多い。読者の目も肥えている。薄っぺらい話やつじつまが合わないストーリーはすぐにばれてしまう。

   考えてみれば、連載の度にジャンルを変えた作品に取り組む漫画家にはアイデア提供者がいて当然かもしれない。政治モノ・スポーツモノ・恋愛モノ・ミステリーモノ…その全てのジャンルが守備範囲、なんて人はそうそういないか。

   しかしVTRを見る限り、やっぱり漫画界は恐ろしい世界だ。浦沢のもとで10年間アシスタントを務めてきた男が自分の漫画を書かせてもらうことになった。だが書き上げた作品に長崎の容赦ないだめ出しが入る。そして男が言った言葉が「もしダメだったら別の仕事に就く」。漫画の世界に10年いても何の保証もないのだ。漫画家だけは目指さなくて良かった――つい呟いてしまう。

   ※NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 「愛と覚悟のヒットメーカー~漫画編集者・原作者・長崎尚志」(2007年11月6日放送)

文   慶応大学・がくちゃん
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