「約束」
北朝鮮にいる彼女への「熱い思い」は?

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   韓国の盧武鉉大統領は、北朝鮮と国境を分かつ38度線を歩いて渡った。南北に引き裂かれた朝鮮民族は、金大中氏が大統領だったころから徐々に雪解けの兆しが見えている。統一は長い間の民族の悲願だ。東西ドイツが一緒になってもうすぐ20年が経つ。東独のホーネッカーも北朝鮮の金日成も独裁者だったが、何故、朝鮮の統一だけは未だなのだろう。半世紀以上も前に直接憎しみをぶつけ合い戦った記憶や傷跡があるからか?和平条約が未締結なので未だ南北は戦争(休戦)状態のままだ。

(C)2006 CJ Entertainment Inc. & Sidus FNH. All rights reserved.
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   映画「約束」は南北に分かれた男女の悲しいラブロマンスを描く。「あなたをずっと待っていたのに」のキャッチフレーズでどんなに涙がこぼれるかと期待したが、何も起こらないドラマに期待を裏切られる。

   2001年のピョンヤン。オーケストラでホルンを吹くキム・ソノ(チャ・スンウォン)には、ヨナ(チョ・イジン)という恋人がいる。祖国解放戦争で名誉の戦死をした筈の祖父は、実は南で大金持ちになっており、父が手紙のやり取りをしていたことがばれて一家は脱北せざるを得なくなる。ヨナを必ず迎えに来る、と涙の別れ。南にやっと辿り着くと祖父は他界していた。ソノを呼び寄せる脱北手配の金を渡した男は詐欺師。そんな時、チキン屋で働くキョンジュ(シム・ヘジン)に出会い、そこで働かせて貰う。ヨナ脱北の資金作りのため必死だったが、ヨナは結婚した、と姉から聞かされ涙にくれるソノ。

   何も南北朝鮮でなくてもすれ違い、ミス情報による悲劇で、昔からある悲恋モノのパターンだ。だから展開も予想通りでドラマが無い。ピョンヤンでロケを行った筈も無く、現場感に乏しく、ソノやヨナが本当に一緒になりたかったのかの情熱も伝わってこない。韓国の映画界は、夏の終りからモンスター映画の「D-WAR」でようやく復興の兆しを見せているが、こんな状況を変えただけの安手の悲しげなロマンスを繰り返しているだけでは、韓国映画が観客に見放されるのも無理は無い。

   監督はTV出身のアン・パンソクで、これが長編劇場映画デビュー作。まだまだ未熟な演出だ。ソノ役のチャ・スンウォンは「リベラ・メ」の放火犯役で注目された。ヨナのチョ・イジンはこれが2作目。一瞬天海祐希に似ている楚々とした印象。シム・ヘジンは韓国でソノの妻になる若い役だが「銀杏のベッド」などに主演した40歳のベテラン女優だ。何故へジンの起用か分からない。このように俳優の使い方一つにしても、パンソク監督は映画自体を完全に捉えてコントロールし、演出をしているとは思えない。

恵介
オススメ度: ★★☆☆☆
「約束」
2007年、韓国映画、角川映画・CJ Entertainment、1時間50分、11月23日
監督:アン・パンソク
出演:チャ・スンウォン/チョ・イジン/シム・ヘジン
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