浪人時代からなりたかった! 「紙修理屋」の仕事って?

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   たまに美術館に行ったりすると、例えば数百年前の手紙がきれいな状態で残っていたりする。書かれてから現在まで、完璧な管理の下で保管されてきたものはそう多くはないだろう。破れたり、虫食いがあったりでぼろぼろになるのが普通のはず。じゃあなぜ美術館で見るものはきれいなのだろうか。それは紙の医者がいるからだ。

   その人こそ今回のプロフェッショナル、鈴木裕。肩書きは「文化財修理技術者」とあるが、彼の手にかかれば傷んだ紙も息を吹き返す。簡単に言うと、彼の仕事は破損した箇所と同じ材質の紙をツギハギすること。だが口で言うほど単純な仕事ではなかった。

   まず、「患者」である紙の材質を科学的に調べるところから始める。分析された情報からそれに近い紙を用意するのだが、今とはまったく違う材質のものが使われていることも少なくない。そのような時はあたらしく紙をすいて、オリジナルに極めて近いものを再現する。そして、それを「患部」に貼り付け、復元させる。番組ホスト、茂木曰く「皮膚が治癒するのと似ていますね」。確かにそんな感覚だ。たかが紙、重要なことは書かれている中身なのでは……などとも思うかもしれないが、紙自体も歴史や文化を物語っている。鈴木の仕事は当時の文化を現代に伝える手伝いなのかもしれない。

   さて、“プロフェショナルとは変人であること”なのではないかという考えは、最近確信を帯びてきた。鈴木自身も冒頭で「人が見ると『あの人何やってるんだろう』っていう、それくらいの仕事が好きだね」と言っていたし、今の仕事も大学浪人時代から憧れていた職業だとか。なかなか修理技術者になろうという人は少ないだろう。“人が思いつかないことをする人”がプロフェッショナルに共通する能力であることは言うまでもないと思う。やはり人と違うことを思いつき、それに徹底的にのめりこむことがプロに必要とされる基礎的な能力の一つだろう。

文   慶応大学・がくちゃん
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