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上戸彩やるじゃない! 不覚にも泣かされたワ(暴れん坊ママ)

   初回のみの流し見チェックのつもりだったのに、ついぞ引き込まれてしまった。 脚本は大石静。やっぱり手堅いわ。

   ワイルドで男勝りな海の女あゆ(上戸彩)が、都会のバツイチ美容師、哲(大泉洋)と結婚。ラブラブ新婚生活を送るはずが、ある日突然、前妻との子供が転がり込んできて、育てるはめになってしまう。子供がいたなんて聞いてないよ! おまけにその子が通うことになった幼稚園はセレブなママばっかりで、派閥やらお受験やら、なんだかめんどくさそう・・・

   上戸彩がすごくいい。明るくて強くて真っ直ぐで、オトコマエなあゆにぴったり。大泉洋の情けなさが、彼女をさらにカッコよく見せている。また、大泉の息子ということで、クルクルパーマにされちゃってる佑樹役の子(澁谷武尊)がカワイイのだ。いつも困ったような顔してるんだけどね。

   佑樹のために一生懸命キャラ弁(タコさんウインナーとか、ウサギさんリンゴとかキャラクターをかたどったお弁当)を作るあゆ。なのに、毎回ちょっとずつ残してくる。目指せ完食!と、半ば意地になってあゆは作り続けるのだが、実は食べなかった理由が「もったいないから」だったなんて。消え入りそうな声でポソッと言った子供の一言に、不覚にも泣いてしまった。

   なさぬ仲の母子ドラマの要素がてんこもりで、5話では実の母(紺野まひる)が登場。やっと心が通じるようになってきたところなのに、母親が現れた途端、握り締めたあゆの手を、いとも簡単にほどいて走り寄っていく佑樹。それを見つめるあゆの顔の切ないこと。ご対面番組で生みの母に会えて涙ナミダなんていうシーンにもらい泣きしてしまうけど、育ての母の気持ちはどうなんだろうと、初めて思う。

   それでも少しずつ、家族という形になっていくのを微笑ましく見守っていたのに、最終回、新しい男と海外へ飛び立ったはずの実母が帰って来て、いきなり我が子を返せとは随分な話。男と別れたからって、自分がほんとの母親だからって、勝手にもほどがある。

   だけど、一人ぼっちの母と大好きなあゆとの間で張り裂けそうな佑樹の心を知ってしまったら、あゆは身を引くしかないのね。別れの日は卒園式。呼びかけ方式で綴られる園児たちの「感謝の言葉」。佑樹のセリフだけ他の子供たちと発声法も声の質もまるで違う。さすが主役をはる子は特別だわ。みるみる泣き顔に変わっていくその表情に完敗。ありがちな展開だけど、ツボはきっちり押さえてる。

   だけどなあ、あゆと佑樹の母子関係をもっともっと見ていたかった私には、はなはだ残念な結末なのであった。

(ツキノ・ワグマ)