ロス銃撃事件「記念撮影」現場リポート みの「名所かなんかあるの?」
「ロス疑惑」の銃撃現場の映像が映った。たたずまいは27年前とほとんど変わっていない。昔から寂しい場所だったという。なぜこんなところで記念撮影を? この疑問はいまだに解けていない。
現地のレポートは藤原哲。みのもんたが聞く。
「記念写真を撮るような名所かなんかあるんですか?」
「わざわざ旅行者が来る場所ではない。いまも変わらない」
「目撃者のいたビルはいまもあるんですか?」
「あります。電気水道局で、その8階から3人の職員が見ていた。ただ、すぐ前にオフィスビルが建って、いまは直接は見通せませんが…」
その目撃の内容と三浦和義氏の供述との食い違いは、当時から大きな疑問点だったが、きのう(2月26日)の会見で、ロス市警捜査官のリック・ジャクソン氏が今回の逮捕の根拠として言及した具体例もこれだった。
当時取材にあたったTBSレポーターの村上允俊氏(79)は、当時の映像を見て、「疑問だらけだったなぁと、あらためて思う」といった。要するに詰めきれなかった。「三浦氏が言い張るんだからどうしようもなかった」
三浦氏が述べた内容:車を停めて、写真を撮ろうとした(カメラは三浦氏)。そこへ緑色の車がきて、撃たれた。
対して目撃談:白いバンが停まっていた。そこへ三浦氏の車がきた。白いバンが去ったあと、2人が倒れていたので警察に通報した。カメラを持っていたのは妻の一美さんだった。
逮捕に「初めはびっくりした」という弁護士の大澤孝征氏は「私も捜査官の経験がある(元検事)ので、考え直してみると、正義を実現する手段は国によって異なる。アメリカの捜査官にしてみると、たまたま止まっていた事件が動き出したにすぎない。当時の証拠で有罪立証ができると思っているかも知れない。新しい証拠がないとおかしいと考える日本人の方がおかしいかも」という。
ロス市警は会見で、三浦氏がしばしばグアム、サイパンへ旅行していることをつかみ、自治領と連絡をとっていたことを明らかにした。裁判所に送った資料には、1988年5月5日付けで出された逮捕状のコピーもついていた。88年は三浦氏が銃撃事件で日本で逮捕・起訴された年だ。
リック・ジャクソン捜査官は、「(亡くなった)一美さんも遺族も、正義を受ける権利がある」と強い口調でいっていた。かつて、O.J.シンプソン事件を担当した人なのだそうだ。
大澤氏は「アメリカの裁判制度は、陪審制度で市民が参加する。が、日本の制度はそうではない。その結果が無罪だったことで、ねらっていたのかもしれない」という。
ただ、三浦氏のロスへの移送は、手続きに時間がかかりそうだ。まあ、米側のお手並み拝見というところか。