人生あと…時間 上野樹里が決めた「ゴール」とは(ロス:タイム:ライフ)

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   斬新なアイディアはさすがフジテレビの挑戦枠。脚本はオリジナルで、全9話の予定だがほとんどが違う人。多彩な競作というわけね。すごく意欲的な企画だ。

   1話完結方式で、毎回違う主人公が登場。彼らは不慮の事故または自殺で死んでしまう。するとその瞬間、時間が止まって、サッカーの審判姿の男たちがピピーッと笛を鳴らしながら現れる。頭上に掲げたボードには「3:12」などという数字。これがロスタイム、つまり「人生の無駄を清算する生涯最後のひととき」3時間12分というわけだ。

   主人公は自分が死んでしまったのを知り、残されたロスタイムをジタバタと走り回って真剣に「生きる」ことになる。見ている方は、彼あるいは彼女がやり残したことを成し遂げて、何とか思い残すことなく幸せに死んでいけますように、と一生懸命応援することに。

   ふつうのドラマとして進行していたのが、審判団が現れたときから「LIVE」と表示され、いきなりサッカーの試合みたいになる。実況アナと解説者が「おーっと、ここで○○、全力で走り出しました」「間に合いますかねえ」などとノンキに実況放送。

   主人公が走り出すと審判団もいっせいに走り出す。無言で無表情だけど、絶対に選手から離れてはいけないので実は必死なのが笑える。もちろん、本人以外には彼らの姿は見えない。本人がロスタイム中であることを思わず他人に言おうとすると、すかさずピーッとイエローカードを出す。

   登場する役者も芸達者が多い。なかでも第3試合(第3回)の友近は、あのシレッとした演技で、コミカルな中にも家族を思う主婦の気持ちを表現していて、ちょっと泣けた。

   また、上野樹里主演の第4試合(死因=自殺)は、ロスタイムから延長戦に持ち込んだ、すなわち死ななかった、という結末が意表をついた。死因も含め、今度はどんな趣向かと楽しみになる。

   見るたびにいつも考えてしまう。私だったらどうするだろうか。思えば私はずいぶん無駄に人生を費やしてきたから、きっとロスタイムは長いに違いない。

   死を扱っていても暗くなく、でも決して軽く扱っているのではないところが良い。

   ※「ロス:タイム:ライフ」(フジテレビ系 土曜日 23時10分)

文   カモノ・ハシ
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