ヤミ金が浮き彫りにする地方の「絶望」

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   いわゆるグレーゾーン金利が再来年に撤廃されるのを見越して、貸金業者の"貸し渋り"がすでにはじまっているという。今後、違法な高金利で金を貸す無登録のヤミ金融からカネを借り、自転車操業的な返済を繰り返して多重債務になる人が増えてしまうかもしれない――。

   そんなタイムリーな「ヤミ金」問題に、番組があらたに盛り込んだ要素が「地方」である。題して「ヤミ金融が地方を狙う」。なんでわざわざ(人の少ない)地方を狙うのよ!?といぶかしく思ったが、じつは「獲物」の数が多いからなのだそうだ。

「間違いなくいい漁場ですよ」

   まず番組は多重債務者のデータから浮かび上がる平均像――年収は200万円台で、生活費の補填のため借り始める――を紹介する。また、過疎化、高齢化が進む地方では、職につくのも大変。年金や生活保護の受給者が多く、ターゲットになりやすい。なぜなら、一定の安定的な収入があり、返済が期待できるためだ。かつてヤミ金を営んでいたという男は「(地方は)間違いなくいい漁場ですよ」と太鼓判を押す。

   また地方には、身近に相談できる法律機関が少ないという地理的バリア、「相談などをすると、周囲にすぐ知れ渡ってしまう」という心理的バリアもある。自分や親族間の身内で問題を抱え込み、違法金利の返済を長年続ける傾向がある。

   番組中、国谷裕子キャスターが「地方の多重債務の状況を象徴する」と評した映像があった。場所は西日本のある町役場。雨降る陰鬱な朝、役場前には生活保護費を受け取るための行列ができていた。物陰には少なくとも5人の貸金業者がいて、受け取ったばかりのお金から借金を返済させており、なかには受給のカードや印鑑を取り上げる者もいた。

   ヤミ金がすでに地方に手を伸ばしていたッ!――という重要な証拠のシーン。しかし、いまでも頭を離れないのは、数人のヤミ金よりも、生活保護を求める行列の暗い映像だ。番組全般を振り返ってみても、ヤミ金問題そのものは、「地方」が抱える問題――高齢化、過疎、雇用、閉鎖的な人間関係といった絶望的な状況の、ごくごく一部でしかないという気さえしてしまうのだった。

ボンド柳生

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