2024年 4月 24日 (水)

中国との「資源ゴミ戦争」 日本「敗戦」放置するのか

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   中国が日本の良質な資源ゴミを高値で買い取るため、日本のリサイクル・システムが危急存亡にあるという。このまま市場に任せ、せっかく培った日本のリサイクル・システムを放棄していいのか、と問いを発した。年ごとに激しくなる中国との「資源ゴミ獲得戦争」の背景にあるのは……。

   日本は資源ゴミについて、あくまでゴミという発想が根強く残る。対して「資源の塊」と見て国家挙げて世界中から必要なゴミを漁る中国。この価値観の違いが大きく影響している。

中国輸出へ切り替えた業者「ボーナス、バーンとアップ」

   番組はまず古紙の問題を取り上げた。

   東京・銀座。中国の古紙専門商社の女性社長がこの一等地を拠点に毎日、月間1万5000トンを目標に、古紙回収業者の間を走り回っている。

   一方、この道40年という国内の回収業者も、数年前に中国への輸出に切り替え、今は回収古紙の8割以上を中国へ送っている。この会社の社長は「銀行への借金も返し、従業員の給料、ボ-ナスをバーンとアップした。皆喜んでいるよ」と屈託ない。

   なぜ、中国は古紙を高値で、そんなに買い漁るのか? 実は、古紙を再生加工した製品の主な取引先は、日本や欧米の大手メーカー。メーカー系列の工場が中国で生産したパソコンや電化製品の包装箱用に使っているのだ。

戦略的に再生システムを

   しかしその一方で、日本では今年1月、大手製紙会社による再生紙偽装問題が発覚した。年賀はがきやコピー用紙に配合する古紙の割合を偽っていたのだが、原因の一つは、良質の古紙が手に入りにくくなったからだという。日本の古紙リサイクル・システムはこのままでは危うい状態だ。

   環境経済学が専門の細田衛士・慶大教授は「中国のようにわざわざ商社を置いて資源調達する考えと比べ、日本の製紙メーカーは継続的に古紙を確保する努力を怠っている」と指摘する。

   もう一つの資源ゴミ、使用済みペットボトルも古紙よりずっと深刻な問題だ、と番組は指摘し実情を報告した。

   国谷裕子キャスターは「リサイクル・システムを日本は維持していくべきなのか、それともその必要がないのか。維持していく必要があるならそのために何をすべきか」と、疑問をぶつけた。

   これに細田教授は「私は維持すべきと思う。一番大事なのは、資源小国日本は大きな戦略で資源ゴミを確保していく、きちっとした再生システムを作るべきなのです」

   我々の気持ちの中に、使い捨て時代の浪費意識が残っていないか。考え直す必要がありそうだ。

モンブラン

<メモ:古紙の中国輸出>
   中国へ輸出される古紙は、現在年間317万トン(2007年)。7年前の6万トンに比べ50倍以上だ。番組によると、家庭や企業から丁寧に分別された上で排出される古紙は品質が良く、中国にとっては高値で買い取っても、まだ喉から手が出るほどという。

文   モンブラン
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