2018年 7月 20日 (金)

救急車「たらい回し」にひそむ国の「姥捨て」無策

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   急病で救急車に乗ったはいいけど、受け入れ先が決まらない。「ベッド」の空きがないといった理由で断られ続け、たらい回しにされている間に亡くなった。そんなニュースを目にすることがあるが、クローズアップ現代の「救急に頼るしかない高齢者」を見ると、さらに暗澹たる状況が訪れるのではないかと思えてしまう。

   なぜベッドがないのか。ある病院の救急医療センター所長はこう語る。「救急患者をできるだけ早く収容して、治療してあげたい気持ちはあっても、どうしてもベッドが確保できない」

   番組によると、その理由のひとつに、救急医療を受け終わった患者がいつまでもベッドを"占拠"していることが挙げられる。これまでは、緊急的な治療が終わったあとの患者の受け皿として療養病床があった。とくに高齢者の社会・家庭に復帰には時間がかかる。「すぐには自宅には帰れない。ワンステップ要る」(所長)のに、転院を断られるケースがこの数年でみるみる増えてきたという。ソーシャル・ワーカーが電話をかけ続けて患者の受け入れ先を探すが、見つからない。まるで立ち往生する救急車のようだ。

   なぜ転院できないのか。そこには、今後5年間で約6割の療養病床を削減しようという国の方針がある。療養病床には療養的治療もあまり必要ないが行く先もない、といった人たちが入院し続けている実態があった。そこで、医療費の無駄遣いをなくそうと、療養病床などは減らし、在宅医療を推進中である。

   ところが、そのしわ寄せは救急病院に来てしまった。本来、救急医療のための一般病床が療養病床的な役割まで果たさなければならないのだ。「療養型の施設、病院を充実させてほしい」「昨今は救命医療に対して手厚い診療報酬がつくが、救急病院の受け皿にも手厚い手当をしてほしい」と救急医療の現場は口をそろえた。

   このままでは入院ベッドは手の届かない存在になり、救急車は立ち往生、誰もがベッドを探して電話しつづけるという"戦場"の日も遠くないかもしれない。

ボンド柳生

<メモ:療養病床>
緊急性の高い治療を必要とする患者のベッドである一般病床に対して、長期的な療養が必要な患者のための病床を言う。

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