「第3次オイルショック」 投機マネーの「戦犯度」

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   原油高が世界各地で生活を脅かしている。原油はこの1年で2倍に、10年で7倍になった。サブプライムローン問題で経済が低迷するなかで、スタグフレーションの様相だ。英のブラウン首相は、「第3次石油危機に直面している」といったが、今回の危機はより複雑で深刻だ。

受給メカニズムが…

   前2回の石油危機は、産油国の戦略的な生産調整で起こったが、今回は、中国、インドなど新興国の需要の急増に生産が追いつかないところへ、投機マネーが大量に投じられているからだ。

   国谷裕子の「その要因の比率はどれくらいか」との問いに、十市勉・日本エネルギー経済研究所専務理事は、「70ドルが需給要因、それを超える分が投機要因だ」といった。いま市場では130ドル台にのっている。

   国谷はさらに、「需要が高まれば、やがて生産が追いついて調整するというメカニズムは働かないのか」と聞くが、十市理事は、「短期では働きにくい。新興国は補助金を出して価格を抑えているので、小売価格は高くならない。一方開発の方も、機器材の値上がりや人材不足で遅れがちだ」という。

   その背景に、生産態勢を動かしているメカニズムの変化がある。かつて1970年代に61%を占めていたメジャーが、いまは10%。代わって、6%だった産油国の国営会社がいま77%である。この高いシェアを背負って、産油国はゆっくりと対応した方がメリットが高い。

   6月22日サウジで開かれた消費国・産油国会議で、サウジのアブドラ皇太子は、「量は充分足りている。(高値は)わがままな投機マネーのせいだ」といった。結局、サウジだけが増産を発表したが、翌23日のニューヨーク原油先物市場では、値下がりどころか逆に値上がりして、市場がもはや、需給のメカニズムで動いているのではないことを証明した。

「マーケットの高値を抑えることなどだれにもできない」(投資会社幹部)

技術力で新エネルギー?

   国谷はまた、日本にかかるコストを聞いた。この答えがもの凄い。

   平均で昨2007年がバレル当たり70ドル、今年が120ドル。日本では1ドル上がると20億ドルの支払い増になるから、50ドルで1000億ドル(11兆円弱)増えたというのだ。

   では先行きはどうなるのか。十市理事は「短期に供給増は望めないから、需要で調整するしかない。とくに中国などの需要が大きく減らないと投機マネーの流入は止まらない」とみる。

   しかし、新興国はむしろ逆に動いている。そこで日本の戦略となると?

   「やるべきは徹底した省エネ。車ならハイブリッドとか燃料電池車。非化石エネルギーでは原子力や太陽光発電など。日本の技術力でエネルギーを作り出すこと」と、あっけない結論。

   「わがままな投機マネー」をぎゃふんといわせる策はないものか。

 

ヤンヤン

<メモ:代替エネルギー>

番組は、代替エネルギーをめぐる動きにも触れた。ひとつはカナダの「オイルサンド」。過熱分離で採油できる。バレル当たり50-70ドルで、埋蔵量1700億バレルはサウジに次ぐ。日本への輸送は、中東からの半分の10日ですむ。欧米、中国もねらう。もうひとつが石炭だ。特に埋蔵量で2位のインドネシアでのインドなどの攻防を追った。どちらもかつては、コストがかかりすぎると見捨てられていた資源だが、原油の高騰で採算がとれるところへきてしまったという訳だ。

*NHKクローズアップ現代(2008年6月25日放送)

文   ヤンヤン
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