2024年 3月 29日 (金)

大虐殺「証明」の障害とは 今も支配する「恐怖」

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   ポル・ポト――このところ、とんとお目にかからなかった固有名詞である。――番組は、カンボジアのポル・ポト派による大虐殺を裁く裁判が一筋縄では行かない背景を詳細に伝える。

   裁かれる被告たちは、元国家幹部会議長や元副首相など最高幹部5人。彼らを起訴するための証言や証拠を集める責任者であるフランス人、ルモンド捜査判事の発言の変化が、裁判の難航ぶりを如実に物語る。最初は、1年足らずで終わると考えていたのが、「当初の見通しは甘かった」となり、現在では、「いつ終わるのか、確かなことはなにも言えない」と変わってきている。

被告らが強気なワケ

   裁判が困難な最大の理由は、未だに残るポル・ポト派の大きな影響力だ。

   ルモンド判事は、かつてポル・ポト政権の要職にあった人物が多く暮らす町に出向いて裁判への協力を呼びかけるが、ポル・ポト政権擁護の答えしか返ってこない。また、別の町に住む、父親を殺された46才の女性は、「裁判に出たら、ばれるに決まっている……どんな復讐をされるかわからない」とおびえを隠さない。

   現地で取材する樺沢一朗記者は、「ポル・ポト時代は密告が奨励され、家族さえ信用できない極限状態におかれた。密告された人は連行され、多くは拷問のうえ処刑された。被害者は責任追及を長い間、待ち続けてきたが、ポル・ポト派の報復を恐れ、加害者と接触しないで生活してきたのも事実……カンボジアでは、どこの村でも加害者と被害者が混在して暮らしている」と報告する。

   加害者と被害者のミゾを埋めるための対話を促すNGOの取り組みも番組は紹介するが、両者の対立は根深く、実を結ぶとしても時間がかかりそうだ。

   こうした状況が被告を強気にさせる。元国家幹部会議長は、「悪いのは中堅幹部だ。私たちの知らないところで、気に入らない人たちを勝手に処刑してしまった。私は虐殺に加担していない。そうでないと言うならハッキリした証拠を見せてほしい」と語る。

文   ヤンヤン
姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中