「日雇い派遣」は悪か

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   <ニュース通信簿>「戦前の手配師による人入れ稼業となんら変わらない」。労働者派遣法の生みの親である中央職業安定審議会の高梨昌・元会長がかつて日雇い派遣についてこう嘆いたことがある。

   その日雇い派遣の原則禁止を盛り込んだ提言が2008年7月28日、厚労省の研究会(座長・鎌田耕一東洋大教授)によってまとまった。

   NHKは7月28日21時の「ニュースウォッチ9」で、日雇い派遣に7年間も従事している男性へのインタビューを交え取り上げた。

「原点に戻すべきだ」

   この労働者派遣法(1986年施行)は当初、良好な派遣労働を目指し、専門知識を前提とする16業種に限りスタートした。通訳やシステムエンジニアなどで、賃金も高かった。

   それがおかしくなったのは、元日本経営者団体連盟(日経連)のゴリ押しで99年に労働者派遣法が改正され、原則自由化になったことから。

   改正いらい今日に至る10年程のあいだに、派遣労働者は320万人(2006年度)に達している。しかも雇用は不安定さを増し、賃金は低く抑えられたまま。ワーキングプアの原因とまで言われるようになった。

   派遣社員が東京・秋葉原や八王子で、通行人を無差別に刺殺した事件は記憶に生々しい。

   今回の提言でも「(現在の派遣法では)雇用責任があいまいになりやすい」とし、労働者保護の面から「派遣会社を選ぶ際に参考になるよう、派遣先から受け取る料金や労働者に対する賃金について、法律で公開を義務づけるべきだ」としている。

   番組にVTRで登場した日雇い派遣歴7年の男性は「法律で禁止されている製鉄現場への派遣も経験したし、突然キャンセルになって現場に行っても仕事がないこともあった。日雇い派遣禁止には賛成です」と。

   一方、日本人材派遣協会の川邊彰男事務局次長は番組で次のようにいう。

「日雇い派遣の原則禁止には反対だ。大半は、本業を持っていたり、主婦や学生だったり、そういう短期、単発で働きたい方が結構多い。また、そういった労働力を派遣先の事業主は必要としている。時間をかけて慎重な審議を続けて欲しい」

   厚労省は、今回の提言をもとに、秋の臨時国会に労働者派遣法改正案を提出する考えだが、冒頭の高梨・元会長はある経済雑誌に「日雇い派遣は典型的な悪例。原点に戻すべきだ」と提言している。

   高梨・元会長の指摘は全くその通りだろう。

モンブラン

   *NHKニュースウォッチ9(2008年7月28日放送)

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