速過ぎて「マッハGo?何?何?」(スピード・レーサー)
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<スピード・レーサー>「マトリックス」シリーズのウォシャウスキー兄弟が手掛けた今作。原作はご存知日本のアニメ「マッハGo Go Go」である。
まず見て驚くのが何といっても眩しいほどにあざやかな独特の映像世界だ。全編に渡ってカラフルな色彩で構成されており、レース風景から日常までさまざまな場面において斬新なまでの色使いに思わず目を奪われる。まるでおもちゃ箱の中の世界に入り込んだようだ。レースシーンではさらに煌びやかな雰囲気になり、これから展開されるレースに期待を抱かせる。
ファンタスティックな世界観を映像として見る分には何の申し分もない。しかし、これを実写映画として見ると物足りなさを感じてしまう。こだわったその世界観が逆に現実離れを起こし、実写としてのリアル感が何一つ感じ取れないのだ。映画の見せ場であるレースシーンも"CG処理に力を注いだだけのすごい映像"としか思えないのである。
良く言えば流れに身をまかせて速さを体感することができるが、悪く言えば速過ぎて何が起きているのか分からない。そのためにせっかくのユニークなレーシングカーや、驚くべきドライバーテクニックが中途半端に見えてしまうのである。映画を見ているというよりは、ものすごく凝ったゲームの映像を見た印象になってしまったのが残念だ。
アニメを見たことのあるファンならば原作を忠実に再現してくれた監督に感謝する出来なのだろう。そうでなくともウォシャウスキー兄弟の作品に対するオタクぶりと熱い思いは十分に伝わる。ただし万人受けする映画ではない。せめてもう少し上映時間が短ければよかったのだが。
ジャナ専 巴麻衣
オススメ度☆☆