2024年 4月 20日 (土)

日本人「ノーベル賞」2人の名誉教授 「性格の対称性の破れ」とは

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   日本の研究者のノーベル賞ラッシュが話題をさらっている。物理学賞は3人(うち1人は米国籍)で独占、化学賞1人の計4人受賞という快挙が実現したのだからムリもない。

   今夜(10月9日)のクローズアップ現代は、日本在住の2人、共同研究で物理学賞を得た小林誠・高エネルギー加速器研究機構名誉教授と益川敏英・京都大学名誉教授をスタジオに招いた。聞き手は畠山智之キャスター。

剛の益川、柔の小林

   畠山キャスターに、出会いのころについて聞かれると、「益川さんが5年、先輩。名古屋大学の大学院で最初に仕事したのが益川さんたちのグループで、そのときからのおつき合い」(小林名誉教授)。

   「すごい後輩が来たなと。物理を、僕のように、この分野なら責任を持てるけどという偏った理解じゃなくて、いろんなことを、知っているという表現ではなくて、よく理解していると思った」(益川名誉教授)。

   2人が共同で研究を始めた大学院時代の恩師は、「性格から研究の進め方までことごとく対照的。剛の益川、柔の小林という感じ」と評し、「益川君は鼻っ柱が強い自信家で論戦を辞さない。直観力がある。大事だと思ったら、とことん掘り下げる。相当、難しいことまでこなす。小林君の方は穏やかで知識もあって、いろんなことを検討しながら進める緻密さがある」と述べる。

   益川名誉教授も「冷静で緻密な小林さんが、少々おっちょこちょいでいろんな方向へ発想が行く僕をコントロールしてくれた。じゃじゃ馬を上手に使いこなした」と言う。

   これに対して小林名誉教授は「益川さんの特徴は、数学的なセンス、ロジックの鋭さ。僕が具体的なことをやっていると抽象的にこうだとパッと指摘してくれる」と返した。

「一つひとつのステップが面白い」

   「まったく違うタイプの2人。しかし、研究室では活発に議論を交わす間柄になって行きました……主に理論を考えるのが益川さん、そのアイデアを計算や実験データなどで検証して行くのが小林さんの役目でした」(ナレーション)。

   「自然界には基本粒子クォークが6種類以上存在する」と予言し、「対称性の破れ」の説明に成功した両名誉教授の受賞論文6ページを読んだという畠山キャスターが、その中味について質問したけれども、把握しきれていないためか、問答がいまひとつ噛み合わなかったのは残念だった。

   最後に畠山キャスターが、発想の原点、研究を進めるエネルギーの源を尋ねた。

   益川「理解できないことがあって、これ何でだろうと思ったときにナゾが残って、自分の手で説明してみたいというのがある。考えても答えが出ないかもしれない。そのとき体にしみこませておくと、あるとき解決する糸口が見えた気がして、また研究してみるかと思う、その予感がいちばん好き」

   小林「どこかに手がかりを見つけて、ひとつずつ小さな疑問、ナゾ、パラドックスを解いて行くプロセスの積み重ね、一つひとつのステップが面白い」

   先輩が勘違いしたり、表現の至らないところがあったりすると、ソフトにたしなめる後輩。こういう役割分担で来たのだろうなと思わせる2人の姿を見る思いがした。

アレマ

*NHKクローズアップ現代(2008年10月9日放送)

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