独米の飛行機が「台風」に突っ込む その目的は…
9月10日フィリピン沖で発生した台風13号。天気予報の進路図では中国大陸へ向かうと思っていた台風が、目に見えない「万里の長城」でもあるのか、直前で急に右旋回したのは記憶に生々しい。
国際プロジェクトによる「台風ハンター」
実は、この進路を言い当てたのは今夏から始まったばかりの国際プロジェクトによる「台風ハンター」のデータ。このデータがなければ13号の進路予測はやはり「大陸へ直進」だった。
今回は、この台風ハンターによる「台風の勢力や被害を予測する新時代の幕開け」(米国の気象学者)にせまった。
温暖化の影響なのか、最近の台風は一度直撃されると、被害は半端でない。そこで、台風の進路や勢力の変化を、早く正確に予測しようと、日本の他、米、カナダ、ドイツ、韓国が参加して立ち上げたのがこの国際プロジェクト。
8月末、厚木基地に到着したドイツの航空宇宙センターの気象観測機「ファルコン」が、グアムの米軍基地には米軍の気象観測機「ハリケーンハンター」が、飛行準備を整えていた。2機とも台風に直接飛び込み観測データを得ようと、台風発生に備えているのだ。
日本チームを率いるのは気象庁の台風ハンター、中澤哲夫。「台風がどうして進路を変えるのか、徹底的に調べたい」と意欲を燃やす。
台風の進路は、偏西風や高気圧など、周辺のさまざまな気象条件が絡み予測は尋常一様でない。スーパーコンピュータで11通りもの進路予測を行い、それに過去の進路と照らし合わせて導き出している。
ところが、4年前の台風23号ではその予測が著しく狂った。沖縄沖で進路を急に右旋回、日本列島を縦断し95人の犠牲者が出た。