「福祉」の顔をしたビジネス その実態は…

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   「援助か搾取か 『貧困ビジネス』」と題した今回の放送。タイトルは「OR」をつけて留保する形をとってるが、放送の中身(とゲストのNPO事務局長・湯浅誠のコメント)は、貧しい人たちの弱みにつけこんだ「搾取」であると、あからさまに言いたげであった。

   番組で「貧困ビジネス」として、紹介された例、その一。「住民票」が取れるというネットカフェ。月当たりで支払う金額は、通常の賃貸住宅を借りるのとそう変わらない。しかし、無職の「住人」は、就職先を見つけるには「住所」が必要であり、そのために仕方ないのだと語る。

生活保護費から施設へ自動送金

   ならば、敷金・礼金・手数料ゼロをうたう、とある不動産業者はどうだろうか。これも曲者だった。入居のハードルが低いかわりに、数日でも家賃の支払いが遅れると問答無用の強行策に出る。カギを取り替え、勝手に中に立ち入り、カギの費用やら、(入居者の)生存を確認する手数料などの名目でコマゴマとカネを請求。引っ越したくても、数十万の引っ越し費用が捻出できないから移れない。

   その三。ホームレスを集めて入居させる施設。住所がないと生活保護が受けられないため、ここに入れば生活保護が受けられると勧誘する。ところが、そうした集まった入所者の口座に、いざ生活保護費が振り込まれると、その大半を、さまざな名目で施設側に自動送金する。これも、住居環境などからすると、相当割高な印象が否めない。

   こうして、「住所」にまつわる、いくつかの「貧困ビジネス」が紹介されたが、番組はわりと平板に淡々と進行した。ぽつぽつと『被害者』の肉声が聞けるが、ほぼ予想通りの内容。企業側は「取材に応じなかった」。「横行」「増殖」しているというほどの幅と厚みは感じられず、「搾取」の生々しい、リアルな痛みが響いてこなかったのは残念だった。

ボンド柳生

   *NHKクローズアップ現代(2008年11月4日放送)

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