2024年 4月 25日 (木)

新聞は「民主小沢」に甘いか 今週雑誌が伝えた「情報」

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   予想通り、米大統領選は民主党のオバマ氏が圧勝した。黒人初の大統領が実現したが、これで、未だ根強くある人種差別が消えてなくなるわけではない。10万人の支持者の前で、当選後の第一声を発する彼の周りを、背の高い防弾ガラスがぐるっと取り囲んでいたことが、彼の前途の多難さを象徴している。

   さて、今週の各誌のトップ記事を並べてみる。「激震!CDS破綻リスク27社リスト『超有力企業の名前』」(ポスト)、「野田聖子『事務所放火事件』の深層」(現代)、「エコノミスト22人が株価大胆予測 もう一度くる底値」(朝日)、「中国だけが大喜び!『空爆長のクビ』が飛んだ論文『日本は侵略国家であったのか』の中味」(新潮)、「小室哲哉を破滅させた『カネと女』」(文春)

逮捕直前の「小室哲哉」報道

   ポストと現代は、月曜日が休日だったため、土曜日発売だったから、暇ネタといってはいい過ぎだが、苦しい誌面作りだったことが伺える。朝日も、当たり障りのない株価予測でお茶を濁した感じだ。

   時代の寵児だった小室哲哉の逮捕は、一般紙まで一面で扱うほどで、テレビも、連日のように大騒ぎしているが、小室が今も吉本興業に所属していたら、これほどやりたい放題やれただろうか。

   朝日は、逮捕前の発売だったが、「小室逮捕直前情報を追う」と書いていたのは立派。文春の記事は、テレビやスポーツ紙が散々荒らしたあとだから、さして新味はない。

   新潮は、反中国・反朝日の論客たちを集めて、田母神俊雄前空幕長の書いた論文の擁護をしているが、「日本は19世紀の後半以降、朝鮮半島や中国大陸に軍を進めることになるが相手国の了承を得ないで一方的に軍を進めたことはない」と書くような人物を、「あの人は侍、武士です」といわれても、私は、頷くことはできない。

   ところで、今年上半期の部数が発表されたようだが、現代は実売30万部を切ったらしい。いずれも部数減に歯止めがかからないが、最近の週刊誌を読んでいて、一番気になるのは、「怒り」が誌面から伝わってこないことだ。高見から下々を眺め、中立・客観などとお題目を唱えている新聞と違って、雑誌の目線は読者と同じでなければいけない。それも庶民、弱者の目線だ。

「判断材料提供」の役割忘れるな

   解散時期を弄び、景気対策を選挙対策にすり替える「ひょっとこ総理」へ「日刊ゲンダイ」のように、激しく怒りをぶつけてほしいものだ。大橋巨泉氏が、現代の連載コラムでこう書いている。「したたかな麻生は北朝鮮の金正日に似ている。金が『核』をカードに、超大国アメリカを操って来たように、麻生は『解散』をチラつかせては、民主党をひきずり廻しているのだ。(中略)総理の座を楽しんでいる麻生に『国民』を見る視線はない」。その通りである。

   新聞には「小沢タブー」があるといわれる。何としても、次の総選挙で自民党を政権から引きずり降ろすために、小沢についての悪いことは書かないというのだ。次期総理になるかもしれない人物のことを書かないことなど論外だが、麻生に比べて、小沢情報が少ないことは雑誌も同じだ。わずかに、田原総一朗氏が朝日で、小沢の健康問題に不安があるため、選挙前に代表を辞任する可能性について触れ、「その場合の民主党のあり方が話し合われている」と推測している。

   また、松田賢弥氏が現代で、「小沢一郎の金脈を撃つ」を連載し、小沢が選挙区を替えるのは、小沢の下にいて、彼の裏の部分を知り尽くしている元秘書が、次の総選挙で、同じ選挙区から民主党候補として立候補するためだと書いている。「政権交代」は必要だと思うが、小沢民主党が、国民本位の政策を実現してくれるのかどうか。それを判断する情報を、メディアは提供する役割を担っていることを、忘れてはならない。

 

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)ほか

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