凄みが出てきた 中井貴一の「風のガーデン」

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「風のガーデン」(フジテレビ) 2008年10月30日 22時~

   倉本聰のドラマ第4回である。第1回は故・緒形拳の痩せた姿が痛々しくて正視に堪えず、ドラマに没入出来なかったが、先週の第3回では凄みが出てきた。主人公の白鳥貞美(中井貴一)自身の末期ガン患者としての思いと、麻酔医として担当している患者のフィクサー(奥田瑛二)のあがきを二重構造として描き、ドラマに奥行きを与えた。中井と奥田、名演技者2人のやりとりも見事だった。
   今回は貞美が北海道に行く。長年会っていない娘のルイ(黒木メイサ)が、札幌でよさこいソーラン祭に出るのを密かに眺める。実家のガーデンでは知的障害者の息子の岳(神木隆之介)が、花を見ながらつぶやく姿を盗み見る。妻を自殺に追いやり、次々に愛人を作ることで現実から逃避している貞美の心象風景が見事に出ている。ただし、チェロを弾き、一見誠実そのものの中井貴一が演じる麻酔医が、女たらしという設定はちょっと辛いが。
   名作「北の国から」以来、倉本聰が描いてきた家族の物語の、富良野三部作最終章として位置づけられる本作は、作家の年齢と共に悲劇性を帯びてきて、ついに『死』がテーマになった。美しい花壇の風景が、人間の命の限りあることを、より重く思い知らせる巧みな仕掛けになっていて、久しぶりに大人の鑑賞に堪え得る。
   だが、まさか作者の死の予感ではなかろうが、未来のあるルイは不倫に悩み、少年・岳は自立できるかと心配させる。余りにも暗い。

(黄蘭)

採点:2.5
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