「疑問感じ」てもだまされる 振り込め詐欺の「巧妙」

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   1日1億円近い金が騙され、最悪のペースで増える振り込め詐欺。なぜ減らないのか?

   金銭ばかりでなく、騙された後の精神的ダメージも大きいという被害者、警察の捜査をあざ笑うかのように次々巧妙化する犯人、15%という低検挙率の捜査を阻む壁…警視庁の米村敏朗・警視総監のインタビューを交え、この卑劣な犯罪を浮き彫りにした。

被害者64人にアンケート

   「その前に」と、冒頭で国谷キャスターが、さいたま市と東京・中野で起きた連続テロとみられる殺傷事件について米村総監に捜査の進捗状況を聞いた。

   国谷「30歳前後という目撃証言がありますが、一方で元事務次官の住所、個人情報に精通していたことから、犯人像としてどういう姿が見えていますか」

   米村「今、特別捜査本部を置き150人態勢で行っています。犯人像ですが、予断を持つのは禁物ということで、差し控えさせていただきます」

   さて、振り込め詐欺事件。NHKが今(11)月、全国の振り込め詐欺の被害者64人にアンケート調査を実施した。

   そこで明らかになったのは、3人に2人が、掛かってきた犯人からの電話に、一応不審を感じながらも犯人と話しているうちに「思考力をなくし」「体の方が先に動いてしまった」という心理状態。 

   番組では、アンケートに答えた男性に、犯人の手口を語ってもらった。

   今年8月、男性は長年連れ添った妻を亡くした。男性に電話がかかってきたのは、その後まもなく。『携帯電話の番号を替えたから』というものだった。

「夜眠れない」精神的にダメージ

   これが「アポ電」と呼ばれ、犯人が犯行に及ぶ準備だということは、男性は知らない。「名前を名乗らなかったので、昔かわいがっていた甥と思った」と。

   そして数日後、その「甥」から再び電話が。「今度は『友達と一緒に買った株が暴落した。家族に内緒にしている。すぐ友人の口座に84万5000円を振り込んで欲しい。早くしないと大変なことになる』と、たたみかけられた」という。

   男性は一瞬、「疑問を感じた」が、頭に浮かんだのは「アメリカの株暴落のニュース」で、言われた通りの金額を振り込んだという。

   被害に遭った人たちのその後だが、単に金銭を失くしただけでなく、「夜眠れない」など精神的ダメージを受けているという。

   「孤独」と「身内の危機」という2つのキーワードに、最新の社会問題を絡めたストーリー。妻を亡くしたばかりの孤独ななかで、身内の危機をもっともらしく聞かされれば、役に立ちたいと思うのが人情。家族間の人情の機微を悪用した卑劣な詐欺だ。

   国谷が「捜査の壁とは何ですか?」という問いに、米村総監は次のように指摘した。

   「振り込め詐欺のグループは、大半は20歳代。深刻なのはこうした若者は罪の意識が希薄で、マニュアルで騙しのテクニックを身につけると、仲間を集めて新たにグループを組織している」と。

   国谷の「新しい捜査手法が必要とお考えです?」に、米村総監は「詐欺グループにとって『ローリスク・ハイリターン』の状態を、『ハイリスク』に高めねばなりません。携帯電話の契約時には必ず本人確認を徹底してもらう。携帯通話記録の保存期間をもう少し延長してもらうのが切なる願いです」と。

モンブラン

   *NHKクローズアップ現代(2008年11月19日放送)

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