2024年 4月 16日 (火)

ゆず北川悠仁「噂の笑顔」 「不安」抱え見てみると…

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ゆず北川悠仁「噂の笑顔」 「不安」抱え見てみると…

   <イノセント・ラヴ>ため息が出るほど徹底的に不幸なヒロイン・秋山佳音を演じるのは堀北真希。どんなに不幸かというと、両親がいないのだが、その失い方が衝撃的。なんと13歳の時、兄が両親を殺して家に火をつけたとして逮捕されたのだ。その兄・耀司(福士誠治)は少年刑務所に服役中。

   佳音は地元の長野に住んで、時々兄に面会に行きながら、ひとりでひっそりと暮らしている。でも、町ではどこへ行っても事件はついて回る。一生懸命働くので、はじめ雇い主や同僚はかわいがってくれる。しかし、いつのまにか事件のことが知れ、そうすると手のひらを返すようにクビになってしまう。やむなく故郷を離れて横浜へ行く佳音。

堀北真希の清楚な表情がいい

   もし、自分が佳音だったら、どうやって生きていけるだろうかと考える。仕事や住まいを探すといったって、保証人が必要だろうし、どうしよう。やっぱり、いきなり雇ってくれそうな夜の仕事しかないのかしら。日払いしてもらって、とりあえずネットカフェに寝泊まりしようかしら。なーんて、ドラマの世界に入り込んでるんだか現実的なんだか、よくわからなくなってくる。

   堀北真希の清楚な表情がいい。それから相手役・長崎殉也を演じる「ゆず」の北川悠仁の笑顔はとびきりだ。この笑顔のために起用されたのだと思う。本来ミュージシャンの北川、ドラマや映画の実績があるとはいえ、連ドラ主演は初めて。見るまではちょっと不安があったが、とても自然でさわやか。演技力はまだそんなにあるとは言えないのかもしれないが、演技以前に彼自身の魅力がある。

   「ラスト・フレンズ」の浅野妙子の脚本だけあって、登場人物はみんな謎めいた影を背負っている。佳音が掃除の仕事で殉也の家に行くと、そこには「開かずの扉」が……。やがて、植物状態で寝たきりの殉也の婚約者・聖花(内田有紀)がいることがわかってくる。眼を見開いたままの内田有紀を見ていると「うわっ、あんなに長い時間まばたきしないなんて、すごい。やっぱり役者ってたいへんだな」と思う。

   今日の第6話では聖花の容態が急変、絶望のあまり屋上のフェンスの外にたたずむ殉也。しかし、佳音の支えでなんとか踏みとどまる。聖花は生死の峠を越え、家に連れ帰ることができたが、翌日、驚くことに自力で半身を起こした。奇跡的に回復するのか? でも、同級生・瀬川昴(成宮寛貴)はなぜ聖花のことを「最低の女」といい、「死ね」と人工呼吸器を外そうとするのか?

   ほんとうに兄は両親を殺した犯人なのか? 事件前後の記憶を失った佳音。時々見る悪夢の中で幼い彼女を襲ってくるのは誰なのか? もうもう、謎だらけ。それはきっと、解けたらつらい謎。来週あたりからカタストローフに向かって疾走が始まりそう。

   カトリックの教会も主要な舞台になっていて、「無垢と悪」、「神と救い」のような宗教的なテーマが背景にあることを感じさせる。

カモノ・ハシ

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