産廃特措法延長「知らんぷり」で大丈夫?

印刷

   「産業廃棄物特別措置法」(特措法)は、違法投棄された産廃を、国と自治体が2分の1ずつの金を出し合って一掃しようと2003年に施行されたという。12年までの期限つきで、国は1000億円の費用を見込んだ。かつて大きな話題となった香川県豊島の産廃もこの仕組みで処理され、費用は277億円かかったといわれる。

「基準の280倍」水銀検出

   豊島のほかに全国で10件の処分場が適用を受け、すでに計1160億円が充てられたそうだ。本来、処理が必要な『潜在的処分場』がもっとあるはずなのに、躊躇する自治体があると、番組は教えてくれる。

   滋賀・栗東市の最終処分場は1998年に埋め立てを終了した。が、そこから致死量の20倍を超す硫化水素が発生、ダイオキシンを含む焼却灰やコールタールの入ったドラムカンなどが大量に出てくる。さらに周辺の地下水から環境基準の280倍という水銀が検出され、飲み水への影響も懸念された。折りしも選ばれた知事は、環境社会学者の嘉田由紀子。産廃除去を公約に掲げていた。

   早速、実現に取り組むが、撤去費用は243億円、しかも処理には13年要することがわかる。その場合、国からは金が出ず、県が全額負担しなければならない。借金9000億円、今(2008)年度も400億円、財源不足という滋賀県にそんな余裕はない。

   「環境知事」は方針を変え、深さ40メートルの「しゃ水壁」で処理場を囲い、汚染された水は汲み上げて浄化する案を示す。この方法だと45億円、処理期間も特措法の期限内で済み、国から金も引き出せるのだ。しかし、周辺住民は、地震や長年の劣化で壁にひびが入り、水が漏れ出す恐れがある、と納得しない。水道の7割を地下水に頼るという栗東市民が不安を募らせるのはムリもない。

関係企業から集金、基金設置も

   嘉田知事は「全量撤去と言われているけど、出来ること出来ないことがあって、本心、悩んでおります」と表情をくもらせる。滋賀県は特措法の延長を求めているが、環境省にはその意向がないようだ。知事が決断する日は迫っているのだが……。

   NHK大津局の記者は「硫化水素が発生して、住民が、早く調査、対策を、と要求したとき、県は確認できないとして動かなかった」と県の消極的な姿勢を批判する。そして、除去が必要な産廃量を過少に予測した国の見込み違いを指摘し、「特措法の期限を限定した国の廃棄物行政と、実施を担う県の双方に問題がある」とした。

   スタジオゲストの細田衛士(慶應義塾大学経済学部教授)は「アメリカでは直接、間接、不法廃棄、汚染土壌に関わって利益を得た多くの企業から金を集めて基金をつくって土地浄化をしようしている」と紹介し、とりあえずの現実的な答えとしては「特措法を延長して潜在的な汚染源を拾って適正に処理すること、住民の理解を得ること」と結んだ。

   スタジオに呼ばれた地方の若い記者があがってしまい、言葉が滑らかに出てこない場面をしばしば目にする。この日も明らかな言い間違いを国谷裕子キャスターが訂正していた。取材報告は声だけにした方がいい気がする。

アレマ

   *NHKクローズアップ現代(2008年12月8日放送)

  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter
コメント・口コミを投稿する
コメント・口コミを入力
ハンドルネーム
コメント・口コミ
   

※誹謗中傷や差別的発言、不愉快にさせるようなコメント・口コミは掲載しない場合があります。
コメント・口コミの掲載基準については、コメント・口コミに関する諸注意をご一読ください。

注目情報PR
追悼
シニアの健康ライフ
Slownetからのおすすめ記事(提携)

お知らせ

電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中