非正規社員を襲う メンタル「ダブルパンチ」とは

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   身を切るような北風が吹き始めた年の瀬。突然の派遣切りの結果、職を失い住むところもない非正規社員のホームレスが増えているという。

メンタルヘルスの「格差」

   派遣社員、契約社員などの非正規社員は今や1700万人以上といわれているが、その非正規社員の中で「明日は我が身か……」と思い悩み「うつ」など心の病が広がっているという。

   番組は、その現状と対策を、彼らの悲痛な叫びとともに取り上げた。

   まず現状―。「心の病」を抱える人を対象に電話やメールによる相談を無料で受け付けている横浜労災病院には連日20件を超える相談が続いている。

   吐き気や顔面の痛み、麻痺……中には「死にたい」「手を切っても痛くなくなってしまった」「医師にかかる経済的余裕がありません。助けて」といった悲痛な声も寄せられている。

   相談件数は、雇用不安が増した秋以降、前年に比べ3割以上も増加し、とくに非正規社員からの相談が急速に増えているという。

   「うつ」の疑いが濃厚なら適切な治療を行い、十分休養を取る必要があるのだが、これら非正規社員の中には失業の怖さから会社を休み病院へ行くのを躊躇する人が少なくない。

   非正規社員を雇用する会社側の姿勢を示す数字がある。メンタルヘルス研究所が、社員のメンタルヘルスを行っている上場企業269社を調べたところ、メンタルヘルスを正社員に行っている企業は98%、契約社員を含め行っているのは48%、派遣社員となるとわずか25%だった。

   終身雇用制の崩壊とともに派遣会社が雨後の竹の子の様にでき、増えてきたのが契約社員や派遣社員。しかし、同じ職場で働く仲間内でこれほどの非情さがまかり通っていたとは……

   しかも、「心の病」で働けなくなってしまった時の行き場のない問題も新たに浮上している。セーフティーネットの脆弱さだ。

   健康保険組合に継続的に加入している正社員は、働けなくなっても国の「傷病手当金」を受け取ることができる。

「脆弱な」セーフティーネット

   しかし、職場を変わることの多い非正規社員は、「健康保険料を1年以上継続して支払う」という条件を満たすことができず「傷病手当金」を受給できる資格がない人もいる。

   「セーフティーネットが脆弱の中で、非正規社員のストレスは非常に大きいですね」というキャスターの国谷に、番組に出演した帝京大医学部心療内科の中尾睦宏教授は次のように語った。

   「ただでさえ非正規社員は、先行き不安や一定の成果が求められるプレッシャーで、ボディーブローのように慢性ストレスにさらされている。そこへ景気悪化による大波がきて、雇用不安という急性ストレスのダブルパンチに見舞われているのが現状ではないか」

   「職場の不適応にも問題があるかもしれないが、過剰適応を強いられていることにも問題がある」

   では、「うつ病」に罹らないようにするにはどうすれば良いのか。派遣会社や自治体の中には、支援の手を差しのべる動きも出てきたが、派遣切りの嵐の前では焼け石に水という。

   政府も役に立たない現状では、結局、自分で「うつ」にかからないよう防御するしかない。で、中尾教授は次のようにアドバイスする。

   「これから就業関係がますます厳しくなっていくと思う。ストレスに負けないストレスマネジメントを身につけていくことが大事。一つでもいいからリラックスできることを身につけ、仕事から切り離して、リラックス出来るようにする時間を持つことだ」

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2008年12月17日放送)

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