忠臣蔵スピンオフ 田村正和が演じた「珍しい設定」

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「忠臣蔵 音無しの剣」(テレビ朝日) 2008年12月14日 21時~

   「いよっ、白塗りのニヒルな浪人!待ってました!」と思わず声をかけたくなる美貌の正和様である。結城慶之助(田村正和)は姫路城主のご落胤にして、今は船宿に屯する「逃がし屋」の御前。ふとした関わりで堀部安兵衛(原田龍二)と友達になり、側面から義士の討ち入りを助ける、いわば忠臣蔵外伝だ。今風に言うと赤穂浪士スピンオフドラマね。加えて人妻の志保(和久井映見)が絡む。
   川端に大きなオープンセットを組んでなかなかのリアリティである。確か還暦を過ぎているはずの正和様が、完璧な造作の横顔を見せて年齢を感じさせない。剣の達人だが弱みが1つ。5年前に突然姿を消した恋人志保が忘れられない。田村の扮するかつての役柄は女に惚れられても自分からは冷たく拒絶する人物が多かったのに、今回は情熱の炎の業火を内に押さえ込んでいる珍しい設定だ。
   浅野内匠頭、徳川綱吉、大石内蔵助(橋爪功)、柳沢吉保など絢爛たる実在の人物と世に名高い歴史上のシーンを上手く取り込んで、結城は討ち入りを阻止するために吉良邸に駆けつけようとする上杉方と切り結び、音無しの剣で獅子奮迅の働きをする。特筆すべきは昭和20年代から営々と伝承されている東映時代劇のよきノウハウが生かされていたこと。例えば最後に近く、遠景には大川端を横切る小ぶりの舟、葦が茂った近景には恋人とその夫を逃がしてやったばかりの結城の細身のシルエット。一服の水墨画と見紛う美しさだ。

(黄蘭)

採点:2
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