これは「少子化」になるわ ドラマが浮き彫りにしたひどい現実

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   <小児救命>最終回を迎えたが、結局、視聴率はあんまりよくなかったみたい。だけど、民放にこういう「微力ながらも直球を投げてみたいと思います」的なドラマがあるのはいいことだと思う。

   まず、小児科の現状がこのドラマのようなものだとしたら、びっくりしちゃうね。だって少子高齢化が大問題だと騒がれてるのに、子どもが夜中に熱を出してもすぐに診てもらえるところがないなんて。

小西真奈美が奮闘

   もっとも、産む前に妊婦がタライ回しにあうことさえあるしね。そう言えば、知り合いのアラサー女子が「妊娠したら早く産院に予約しとかないと産むところがなくなる」って。そんななのかい? 産むところは足りない、小児科は足りない、保育園は足りない、それじゃ子どもが増えるはずがない。

   出生率はGDPみたいなタダの数字じゃないんだよ。安心できる受け入れ態勢を整えてから「さあ、産んでください。お願いします」くらいのことを言ってみてよ、マスゾエさん。と、アタマに血が上りやすいカモノは前振りが長くなってしまいました。

   年中無休24時間診療の小児科医院を開業するヒロイン・青山宇宙(小西真奈美)。じつは宇宙が小児科医となり、何がなんでも子どもを助けたいと思うのにはワケがあった。幼いとき実の親に置き去りにされ、絶望のあまり窓から飛び降りて死のうとしたとき、小児科医だった養父の冬悟(大杉漣)に救われたのだ。養母が認知症になって以来閉院していた養父の小児科医院を再開する形で、理想の小児科医院を作ろうとしたわけだ。

   宇宙の「青空こどもクリニック」にやって来る患者たちは、現代の子どもと親が抱える問題を映し出す。長期入院中に親が離婚、行方知れずになってしまった少年、自分が女として成長してゆくことが受け入れられないサッカー少女、仕事に忙しい両親に「しっかりした子」を演じ続けて限界が来てしまった子……。

「共倒れする前に助け合え」

   しかし、何よりもドラマで描かれるのは、小児科の現場の疲弊ぶりと経営の厳しさだ。最初に集まったのは救急救命士1名のほか小児科医5名と看護師3名だが、激務に耐えかねて辞める者も出てくる。夜間診療体制には人手が要る。人件費がかかる。ギリギリのローテーションを組んで頑張るスタッフたちの疲労はピークに。こんな状況で診療をする現場ではミスが出ないほうが不思議というもの。

   やがて、重ねた無理もついに行き詰まる。最終回では、赤字がかさんで立ちゆかなくなり、医院を縮小することに。だけど、患者が押し寄せても赤字が増える一方、というのはおかしくない? そうだとしたら、医療報酬の制度が間違ってるのだろう。子どもは病状の進行が早く、夜中に悪くなることが多いそうだ。その辺、考えられてるのかしら?

   縮小はしたが、恋人の小児科医・狩矢(塚本高史)と結婚して、2人で続けていくことに。救命士の木暮(勝地涼)も残り、初心に帰って医師を目指す。勤めていた総合病院の後輩・樋口(山口紗弥加)もボランティアで手伝いに来る。木暮はひそかに宇宙にあこがれ、樋口は狩矢に好意を抱いていたらしい。宇宙たち2人をサポートしていこうとする木暮のいじらしさと樋口のさわやかさが快い。

   先輩医師・柾(陣内孝則)も「開業医と総合病院の連携」を提唱。「共倒れする前に助け合え」。柾のこの言葉が当てはまるのは小児科医の世界だけではないだろう。

カモノ・ハシ

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