自殺名所に現れた 「派遣切り」の影響

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   <テレビウォッチ> 天下の名勝・福井県の東尋坊はまた、自殺の名所としても有名。その自殺防止のパトロールをしている茂幸雄は、昨2008年1年間で自殺志願者171人を保護した。が、年末に保護した8人のうち5人までが「派遣切り」にあった人だった。

生きてほしい

   彼は東尋坊を管轄する警察の副署長だった。ある夫婦の自殺を止められなかったことがきっかけに、退職後NPO法人「心に響く文集・編集局」をつくり、現地の茶店などと連携しながらボランティアでパトロールを続けている。カメラがそれを追う。

   「1人でジッと海をみていたり、観光客とは行動が違うからすぐわかる」「何があったんや、つらかったやろ、という言葉を待ってるんです」という。

   取材中(先月27日)も、「女性が泣いている」との通報があった。駆けつけたが、みつからなかった。その3日前、30代の元派遣の男性を保護していた。「11月から5人、働くところもいくところもないと。異常事態ですって」

   東京の大手電機メーカーの物流倉庫で2年働いていたが、先月7日、20人が突然解雇され寮も追い出された。通告は前日だった。その後、ネットカフェなどで過ごし職探しもしたが、住所も身分証もないために、就職できなかった。

   親しかった派遣の友人が突然死んで支えを失った。列車を乗り継いで福井まできた。が、所持金は300円。6時間半歩いて、東尋坊に着いたのが午前5時半だった。疲れて休憩所にいるところを保護された。

   その男性は、NPOの餅つきを手伝っていた。心の中に、あの事件--秋葉原の殺傷事件があったという。あの場所で凶行を目撃したのだった。そして、犯人は同じ派遣社員だったと知ったとき、「あんな風にはなりたくない」と思った。その結果の自殺志願だった。

   電車の中で書いたという遺書をいまももっている。紙を買う金がないので、履歴書の裏に書いたものだ。「そこ(自殺)へ戻りたくない。その戒めのために持っているんです」。

   茂はいう。「国民の命は国の財産やぞ。だれが守るん?」

   きのうの夜にも32歳の元派遣の男性が保護されたという。自動車メーカーの検査関係の仕事を昨年12月22日に解雇され、所持金は1322円、遺書用の便せんをもっていた。

   加藤浩次が、「いま派遣切り3万人といわれてますよね」

   江田けんじは、「3月には7、8万人になる。はっきりいって、彼らはモノ扱いなんです。人事部の所管じゃない。04年の規制緩和で、製造業にまで認めちゃったこと。企業は便利だからね。派遣会社にもピンハネなどの問題があった」

   「景気が悪くなることを考えてなかったんですか?」と加藤がいいことをいう。

   江田は、「10年前に派遣業法を改正したときに、製造業は禁止した。それはこういう事態を予想したから。政府も想定できていた」

   テリーは、「自殺する人というのは、世の中に迷惑をかけてると思う人が多い。が、迷惑をかけてはいません。いいこと絶対にあるから、そういう意識で生きてほしい」

文   ヤンヤン | 似顔絵 池田マコト
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