患者VS医者「どっちもモンスター!」 そんなのやめよう「お互い様」

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   『Dr.コトー診療所』は、離島の診療所を描いた物語だ。人と人の温かさ、命の重み……。複雑なテーマを美しい大自然を舞台に描いた作品だ。今回のゲストは、まるでコトー先生のような人物。福井県の小さな町にある診療所で医師を務める、中村伸一。

   コトー先生は一人ひとりの患者に丁寧に向き合い、体の不都合を直すだけではなく、心の病も治療する。中村もそうだった。患者の人生に寄り添う。「病院の外科医は患者さんの人生の中の一点で関わって過ぎていく。僕らは違うんですね。日常生活の中で、患者さんの人生と寄り添いながら生きていく。日常を支えていくっていうのが、地域医療の、医者の仕事なんですね」。

   彼の勤務する地域には大きな病院もない。必然的にいろいろな病を抱える患者が中村のもとを訪れる。通常の診療所では、基本的な治療を行い、それ以外は専門医のいる総合病院を紹介する。しかし中村はさまざまな治療を自分で行う。内視鏡を使ったがん検診・手術までも。この地域には老夫婦世帯や身寄りのない患者がいっぱいいる。その患者のために、中村は様々な医療技術を学んだ。

   「先生、ありがたいな」「先生好き。先生ね、私大好き」――。おばあちゃんが中村にそう呼びかける。心から彼を信頼し、命を預ける。医療不信が叫ばれる世の中にあって、どう患者との関係を築いていけばいいのか。彼はこう言う。

   「医療者側と患者側が相互不信という名前の大きい溝があって、そこでお互いが自分たちの意見を言っているっていうのが一番よくないんじゃないか。『お互い様』という気持ちを両者が持っていれば、そんなぎすぎすした世の中になっていかないと思う」

   一人ひとりの患者の信頼にこたえるため、マニュアルどおりの受け答えではなく、オーダーメイドの治療を施す。患者の信頼を得て、お互いがお互いを信じあうことこそ医療のスタートラインだったのではないか。『Dr.コトー診療所』の世界はただの物語ではなく、ここに実際に存在した。

慶応大学 がくちゃん

*NHKプロフェッショナル 仕事の流儀(2009年1月13日放送)

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