2018年 7月 22日 (日)

城山三郎の回想録 そのドラマ化は成功したか

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「そうか、もう君はいないのか」(TBS) 2009年1月12日 21時~

   ご存知、作家・城山三郎の回想録をドラマ化したもの。若い頃、グレンミラー物語のジャズを聞きながらデイトした2人のなれそめも、突然ガンで容子夫人(富司純子)が余命僅かと宣告されて後の顛末も、娘(檀れい)の語りで展開する。筆者の身近の、仕事で城山と接点があった者によれば、彼は非常に神経質な人との印象を受けたそうだ。道理で、夫人が亡くなった後に、不眠に悩まされる場面が出てくる。作家の内面など誰にも類推出来ないもの、究極の愛妻物語を作ろうとの制作者の意図は、むしろ傲慢ではなかったのか。
   筆者には田村正和が城山の役を引き受けたことが不思議でならない。役者は化けてこそ存在理由があるとはいえ、あの田村がこういう、いわば巷で受ける難病ものの遺族の役を演じるのは、彼の美学に反するような気がするのであるが。まして、見ているわれわれにも、個人情報保護法の成立時に、「絶対反対」といってニュース番組に出演し、頑固で容貌魁偉な化石の様な作家の姿を見せた城山は、およそ美貌の田村とは乖離し過ぎていてリアリティが感じられなかったのである。フィクションと断ればすむ問題ではない。
   夫人の葬儀で、喪主も勤めぬ、出席もしない、と駄々をこねて息子や娘を閉口させ、孫娘の求めで翻意する場面もちょっと甘すぎる。家事オンチの戦中派が、支えてくれた妻を亡くした時に絶望するのはありうるが、今の時代に特筆すべきエピソードでもなかろう。

(黄蘭)

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