名ドラマ「刑事コロンボ」 「今こそ見る価値あり」の訳

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「刑事コロンボ」(NHK BSハイビジョン) 2009年1月17日 20時~

   NHK総合→日本テレビ→WOWOW→ハイビジョンと旅をしてきた出戻り娘のような再々放送を、今更【見朱欄】で取り上げるなんてと言わないでもらいたい。今こそ取り上げる価値があるのだ。何故ならば、近頃の地上波ドラマに対する強烈な反面教師となっているからである。題は『権力の墓穴』、主演は勿論ピーター・フォークのコロンボに、監督があのハンサムな俳優、ベン・ギャザラ。テレビシリーズの「ホロコースト」で1週間唸らせてくれた名優である。
   警察本部次長の妻殺しをコロンボが暴く、例によって例のごとき脚本なのだが、訥々とした語り口なのに弛緩せず、事件を描いているのに人物の造形がくっきり浮かび上がり、脇役の人物(例えば、ケチな窃盗犯で刑務所を出たり入ったりしているオヤジ)までが、膝を叩きたくなるような名演技をする。加えて音楽があの素晴らしさだ。これで面白くならないわけがない。
   翻ってわがドラマ。やたらに連発されるスペシャルだの開局記念だのといっても、明らかに売れた本に便乗した脚色物か、人気タレントを主演にもってきただけの連ドラ特番か、当たったマンガや劇画の映像化か、いずれにしてもオリジナルの傑作脚本にはめったにお目にかかれない。民放では特に短い制作日程での粗製品もあり、不況でスポンサーが減っている現在では益々チープな作品が多くなる。再々々放送でいいから、こうした誇り高い作品を見たいものだ。

(黄蘭)

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