経済悪化とクラシックの危機 「メトロポリタン」に解決策はあるか

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「クローズアップ現代」(NHK) 2009年1月26日 19時30分~

   サブタイトルは「芸術を変革せよ」。オバマ大統領の就任式で渡米したついでに国谷裕子が取材してきたという感は否めないが、この時間帯には珍しいクラシック界の話である。世界3大歌劇場の1つ、NY・メトロポリタン歌劇場のピーター・ゲルブ総裁へのインタビューだ。彼は「魅せるオペラ」を目指し、数々の新しい試みをしてきた人。元はホロヴィッツのマネジャーだったが、数年前からメトの総裁として、100台ものカメラを使って映画館にオペラの生中継を流したり、歌劇場の裏側をドミンゴに案内させたりしてきた。
   何が驚いたといって、天下のメトでも客が高齢化した上に金融危機でジリ貧なのだそうだ。若い娘は「あの太った歌手が唄うヤツ」という風にオペラを馬鹿にして言う。わがN響の定期公演でも、後ろから見ると、白髪とハゲしかいないような印象で、世界的にクラシックは時代遅れのマイナー公演になりつつあるのだ。
   端正な目鼻立ちにモーレツなインテリという雰囲気のゲルブ氏は、新しい観客を増やしたいと日々闘っていて、「昔は雪が降ると好きだったのに、今は客が減らないかと心配になる」と悲しいセリフを吐く。芸術の道は格別の才能プラス長い長い精進と学ぶための大金を費やし、それでも名前が出るのは至難の業、労多くして報われることの少ない世界である。観客まで減る一方では、「解決策が見つかっていない」苦難の道という氏の言に共感できるインタビューだった。

(黄蘭)

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