2018年 7月 19日 (木)

荒れた森を「恵み豊か」に その責任と方法

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   むかし、国の政策の一環として行われた人工林の造成。木材の需要を見込んで、日本各地に大量の樹木を植え付けた。しかし運搬手段が進歩し、海外から格安の木材の調達が可能となった。伐採されることも、手入れをされることもなく半ば放置に近い状態が続いている人工林。しかもそこにある木こそ、杉だと聞いたことがある。つまり毎年春先に私を苦しめる鼻のムズムズは、国が行った政策のせいでもあるということか。恨めしい話だ。

   人工林のもたらす悪い影響は花粉だけではない。本来、人工林では全体のバランスを保つために定期的に間伐を行う。本数を管理するための伐採のことだ。しかしそれが行われない。すると倒木や土砂崩れが起こる。荒れた森となる。今回のプロフェッショナル、湯浅勲は、その荒れた森を再生させるプロ。京都にある日吉町の森林組合につとめる。地域の森の所有者が作る組合。職員は、所有者の代わりに森を管理する。

「間伐をしていない森林というのは、8割くらいは荒廃しています。そうすると800万ヘクタール。手入れをしなかったら滅茶苦茶になるけれども、きちんと手入れをしていれば恵みが豊かな森になる」

   湯浅は日吉町の荒れ果てていた森を、健康な森に再生した。その手腕が全国に知られている。そもそも人工林が放置されているのは、コストの問題のため。彼は知恵と工夫でコストの問題を解決する。木材の運搬機材も自分たちで開発した。苦労の積み重ねで、コストを従来の3分の1に圧縮した。

   低コストで荒れ果てた森林を効率よく伐採し、出荷する。このサイクルが、日本の森林の再生プロセスなのだ。番組の中で茂木健一郎が

「人間が始めた森だから、責任を持って人間が豊かにしていかなければいけないですね」

とコメントしたが、その通りだ。物事を始める時に一番大切なことは、最後までやりきれるかを自分に問うこと。無計画の恐ろしさを学んだ放送でもあった。

慶応大学 がくちゃん

NHKプロフェッショナル 仕事の流儀(2009年2月3日放送)

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